日本文学史及び作品鑑賞
第三回
記紀の違い
•成立時間:712年と720年
•編者:稗田阿礼、太安万侶と舎人親王
•性格:対内(国内政治)と対外(国際政治)
•構成:三巻と三十巻
•文体:和文と漢文
•非正史(文学性が高い)と正史(『六国史』の始まり)p13
和歌とは
•和歌とは漢詩に対する呼称で、やまとうた(大和歌・倭歌)、あるいは単にうたという。
奈良時代には倭歌(わか)・倭詩(わし)とも言った。
•和歌は広義には長歌・短歌・旋頭歌・片歌及び仏足石歌の総称だが、狭義には31音を定型とする短歌のことを指す。
•和歌の修辞技巧:枕詞、序詞、掛詞、縁語、本歌取り、体言止め、対句、句切れ
万葉歌風・歌調
•万葉集の歌の特色は、一般的には、現実生活における素朴な感動、強い実感を率直に表現し、格調は素朴・直截あるいは率直・切実で、またしばしば雄大・荘重でおおらか。
修辞的には五七調、すなわち二句・四句切れが多く、枕詞・序詞の使用も多い。
賀茂真淵(かものまぶち)は「ますらをぶり」と称した
額田王の歌
あかねさす
紫の行き
標野行き
野守りは見ずや
君が袖振る
漢詩漢文の訓読
•訓点:日本文と語順が違う漢文を読むためにカタカナや符号を使う。
このカタカナを「送り仮名」といい、符号を「返り点」という。
これらに「句読点」を加えたものを「訓点」という。
•1、送り仮名:日本語の助詞や活用語の活用語尾などを示すカタカナ。
•2、返り点:語順を変更して、下から上に返って読まなければならない場合に用いる符号。
古典仮名の読み方p5
•1、語中と語尾の「は、ひ、ふ、へ、ほ」はそれぞれ「わ、い、う、え、お」に;
•2、「あ、い、え、お」の後に「う」がつくと、長音になる:
アウ――オーヤウ――ヨーカウ――コー
イウ――ユーエウ――ヨーテウ――チョー
オウナ――オーナオウ――オーオモフ――オモ
タマフ――タモーヒサシウ――ヒサシュー
テウヅ――チョーズ
•3、「や」拗音は「よ」拗音に:ジャウ――ジョウシャウニン――ショウニン
•4、「くわ」は「か」に:クワシ――カシ
宴(うたげ)に侍(じ)す
大友皇子
皇明(くわうめい)日月と光(て)り
帝徳天地に載(み)つ
三才ならびに泰昌(たいしやう)
万国臣義を表(あらは)す
靜夜思
李白
牀前看月光
疑是地上霜
擧頭望山月
低頭思故郷
•牀前(しょうぜん)月光(げっこう)を看(み)る
•疑(うたが)うらくは是(こ)れ地上(ちじょう)の霜(しも)かと
•頭(こうべ)を挙(あ)げて山月(さんげつ)を望(のぞ)み
•頭(こうべ)を低(た)れて故郷(こきょう)を思(おも)う
黄鶴樓送孟浩然之廣陵
李白
故人西辭黄鶴樓
烟花三月下揚州
孤帆遠影碧空盡
惟見長江天際流
•故人(こじん)西(にし)のかた黄鶴楼(こうかくろう)を辞(じ)し
•煙花(えんか)三月(さんがつ)揚州(ようしゅう)に下(くだ)る
•孤帆(こはん)の遠影(えんえい)碧空(へきくう)に尽(つ)き
•惟(た)だ見(み)る長江(ちょうこう)の天際(てんさい)に流(なが)るるを
楓橋夜泊
張繼
月落烏啼霜滿天
江楓漁火對愁眠
姑蘇城外寒山寺
夜半鐘聲到客船
•月(つき)落(お)ち烏(からす)啼(な)いて霜(しも)天(てん)に満(み)つ
•江楓(こうふう)漁火(ぎょか)愁眠(しゅうみん)に対(たい)す
•姑蘇(こそ)城外(じょうがい)の寒山寺(かんざんじ)
•夜半(やはん)の鐘声(しょうせい)客船(かくせん)に到(いた)る
論語
子曰:學而時習之。
不亦説乎。
有朋自遠方來。
不亦樂乎。
人不知而不慍。
不亦君子乎。
•子(し)曰(いわ)く、学(まな)んで時(とき)にこれを習(なら)う。
また説(よろこ)ばしからずや。
朋(とも)あり、遠方(えんぽう)より来(き)たる。
また楽(たの)しからずや。
人(ひと)知(し)らずして慍(いきど)おらず、また君子(くんし)ならずや。
子曰:吾十有五而志于學。
三十而立。
四十而不惑。
五十而知天命。
六十而耳順。
七十而從心所欲。
不踰矩。
•子(し)曰(いわ)く、われ十有五にして学に志し、三十にして立ち、四十にして惑(まど)わず。
五十にして天命を知り、六十にして耳順(したが)う。
七十にして心の欲するところに従って矩(のり)を踰(こ)えず
枕詞
•枕詞(まくらことば)とは、主として歌に見られる修辞で、特定の語の前に置いて組となり、語調を整えたり、ある種の情緒を添える言葉のことである。
•枕詞の例
•茜さす(あかねさす)→日、昼、紫、照る、君
•空蝉の(うつせみの)→命、世、人、身など
•春久方の(ひさかたの)→天、雨、月、雲、空、光など
序詞
•序詞(じょことば)とは、ある語句を導き出すためにその前に置かれる修辞的語句。
枕詞と同様の修飾機能をもつが、枕詞が原則として五音で被修飾語との関係が固定しているのに対し、序詞は長さも制限されず自由に創造されるという違いがある。
•序詞には二種類の型が見られ、有心の序と無心の序がある。
有心の序は意味でつながるもので、無心の序は発音でつながるものである。
掛詞
•掛詞(かけことば)とは、同じ音、あるいは類似した音を有するものに、2つ以上の意味を込めて表現する方法。
古来より用いられてきた。
掛詞となる語は、ほとんどの場合平仮名で書かれる。
縁語
•縁語(えんご)とは、主材料と関連の有る幾つかの語詞を多用して、重層効果を狙う技法。
掛詞と合わせて用いることも多い。
本歌取
•本歌取(ほんかとり)とは、有名な古歌(本歌)の1句もしくは2句を自作に取り入れて作歌を行う方法。
主に本歌を背景として用いることで奥行きを与えて表現効果の重層化を図る際に用いた。
体言止め
•体言止め:体言(名詞・名詞句)で文章を終えること。
名詞止めとも称する。
言い切らずに、文の語尾に付ける終止形を省き、体言で止めて、強調させたり、余韻を残すことをいう。
対句
•対句(ついく):並置された二つの句が語形や意味上、対応するように
作られた表現形式。
句切れ
•句切れ(くぎれ)とは、意味や内容、調子の切れ目のこと。
短歌や俳句は、一つの歌の中に、二つの内容が表現されていることが多い。
その前半の内容の終わり部分を「句切れ」という。
作品の途中で「。
」を付けられるところを探してみるとよい。
句切れの見分け方
•1、「切れ字」→「ぞ」「かな」「や」「けり」「ず」「ぬ」「らむ」があれば、そこが句切れ。
•2、「感動を表す語」→「けり」「なり」「かな」「かも」等があれば、そこが句切れである。
•。