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桃太郎(PDF版)


がいこく しまじま
かえ き
するとそのころ、ほうぼう 外 国 の 島 々 をめぐって 帰 って来
はなし
すえ
た人があって、いろいろめずらしい、ふしぎなお 話 をした 末 に、
なんねん なんねん ふね
とお とお うみ
「もう 何 年 も 何 年 も 船 をこいで行くと、 遠 い 遠 い 海 の
おに しま
ところ

かみ
くだ
ほしいと言っていたものだから、きっと 神 さまがこの子をさずけて 下
さったにちがいない。」
い おじいさんも、おばあさんも、うれしがって、こう言いました。
ゆ そこであわてておじいさんがお湯をわかすやら、おばあさんがむつきを
おお
あか
だあ

そろえるやら、 大 さわぎをして、 赤 さんを抱き上げて、うぶ湯をつか
い とおばあさんも言いました。
にわ そこで、おじいさんとおばあさんは、お 庭 のまん中に、えんやら、え
うす も だ

んやら、大きな 臼 を持ち出して、おじいさんがきねを取ると、おばあさ
んはこねどりをして、
「ぺんたらこっこ、ぺんたらこっこ。ぺんたらこっこ、ぺんたらこっこ。」
と、おべんとうのきびだんごをつきはじめました。
ももたろう
いさ た
すす
桃 太 郎 はいよいよ 勇 み立って、またずんずん 進 んで行きますと、
うみ やがてひろい 海 ばたに出ました。
ふね そこには、ちょうどいいぐあいに、 船 が一そうつないでありました。
ももたろう
けらい
ふね の こ
桃 太 郎 と、三にんの 家 来 は、さっそく、この 船 に乗り込みま
ももたろう
かえ
桃 太 郎 がふり 返 ると、きじはていねいに、おじぎをして、
ももたろう
ももたろう
「 桃 太 郎 さん、 桃 太 郎 さん、どちらへおいでになります。」
とたずねました。
おに しま おに 「 鬼 が 島 へ 鬼 せいばつに行くのだ。」
こし さ
なん
「お 腰 に下げたものは、 何 でございます。」

とだな
もも おも
の間に、おばあさんは 戸 棚 の中からさっきの 桃 を 重 そうにかかえて
き 来て、
もも 「ほら、ごらんなさいこの 桃 を。」
い と言いました。
もも か き 「ほほう、これはこれは。どこからこんなみごとな 桃 を買って来た。」
かき
きょう ひろ き
「いいえ、買って来たのではありません。 今 日 川で 拾 って来たのです
とたずねました。
-6-
日本の昔話——桃太郎
おに しま おに 「 鬼 が 島 へ、 鬼 せいばつに行くのだ。」
こし さ
なん
「お 腰 に下げたものは、 何 でございます。」
にっぽん 「 日 本 一のきびだんごさ。」
くだ
とも
「一つ 下 さい、お 供 しましょう。」
こ 「よし、よし、やるから、ついて 来い。」
日本の昔話——桃太郎
てんき
さお うみ
なみ た
うららかないいお 天 気 で、まっ 青 な 海 の上には、 波 一つ立ち
いなづま はし
やい
ませんでした。 稲 妻 が 走 るようだといおうか、矢を射るようだとい
はや ふね おうか、目のまわるような 速 さで 船 は走って行きました。ほんの一
じかん はし
おも
「ドンブラコッコ、スッコッコ。
ドンブラコッコ、スッコッコ。」
なが き と 流 れて来ました。
もも 「おやおや、これはみごとな 桃 だこと。おじいさんへのおみやげに、ど
も かえ れどれ、うちへ持って 帰 りましょう。」

こし
もも と
おばあさんは、そう言いながら、 腰 をかがめて 桃 を取ろうとしまし
とお たが、 遠 くって手がとどきません。おばあさんはそこで、
たむ
時 間 も 走 ったと 思 うころ、へさきに立って向こうをながめていたき
しま
たか はおと
にっぽんいち 「 日 本 一 のきびだんごさ。」
くだ
とも
「一つ 下 さい、お 供 しましょう。」
こ 「よし、よし、やるから、ついて 来い。」
ももたろう きじもきびだんごを一つもらって、 桃 太 郎 のあとからついて行きま
した。
いぬ さる
けらい
犬 と、 猿 と、きじと、これで三にんまで、いい 家 来 ができたので、
もも

ももたろう
そして 桃 の中から生まれた子だというので、この子に 桃 太 郎 とい
-3-
な う名をつけました。
日本の昔話——桃太郎
ももたろう おじいさんとおばあさんは、それはそれはだいじにして 桃 太 郎 を
そだ
ももたろう
せいちょう
育 てました。 桃 太 郎 はだんだん 成昔話——桃太郎
いた
かえ
て、もう居ても立ってもいられなくなりました。そこでうちへ 帰 るとさ
まえ っそく、おじいさんの 前 へ出て、
くだ 「どうぞ、わたくしにしばらくおひまを 下 さい。」
い と言いました。
おじいさんはびっくりして、
まえ 「お 前 どこへ行くのだ。」
き と聞きました。
おに しま おに
ももたろう
ももたろう
「 桃 太 郎 さん、 桃 太 郎 さん、どちらへおいでになります。」
とたずねました。
おに しま おに 「 鬼 が 島 へ 鬼 せいばつに行くのだ。」
こし さ
なん
「お 腰 に下げたものは、 何 でございます。」
にっぽん 「 日 本 一のきびだんごさ。」
くだ
とも
「一つ 下 さい、お 供 しましょう。」
した。
こて 「わたくしは、 漕ぎ手になりましょう。」

いぬ ふね

こう言って、 犬 は 船 をこぎ出しました。
と 「わたくしは、かじ取りになりましょう。」

さる
すわ
こう言って、 猿 がかじに 座 りました。
ものみ 「わたくしは 物 見 をつとめましょう。」


こう言って、きじがへさきに立ちました。
-8-
ももたろう
くすやままさお
楠 山正 雄
むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました。

せんたく
まいにち、おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ 洗 濯 に行
きました。
せんたく ある日、おばあさんが、川のそばで、せっせと 洗 濯 をしていますと、
かわかみ
もも
川 上 から、大きな 桃 が一つ、

ももたろう
きびだんごがうまそうにでき上がると、 桃 太 郎 のしたくもすっかり
あ でき上がりました。
ももたろう さむらい き
じんばおり き かたな
桃 太 郎 はお 侍 の着るような 陣 羽 織 を着て、 刀 を
-5-
日本の昔話——桃太郎
こし
ふくろ

もも え
腰 にさして、きびだんごの 袋 をぶら下げました。そして 桃 の絵の
き 来ました。
いまかえ 「おばあさん、 今 帰 ったよ。」

はや
「おや、おじいさん、おかいんなさい。待っていましたよ。さあ、 早 く


お上 がんなさい。いいものを 上げますから。」
なん 「それはありがたいな。 何 だね、そのいいものというのは。」
あ こういいながら、おじいさんはわらじをぬいで、上に 上がりまし た。そ
よ。」
-2-
日本の昔話——桃太郎
ひろ き 「え、なに、川で 拾 って来た。それはいよいよめずらしい。」

もも りょうて
こうおじいさんは言いながら、 桃 を 両 手 にのせて、ためつ、すが
もも

めつ、ながめていますと、だしぬけに、 桃 はぽんと中から二つに割れて、
「おぎゃあ、おぎゃあ。」
いさ
こえ あ
おも
「 鬼 が 島 へ 鬼 せいばつに行こうと 思 います。」
ももたろう と 桃 太 郎 はこたえました。
「ほう、それはいさましいことだ。じゃあ行っておいで。」
い とおじいさんは言いました。
えんぽう 「まあ、そんな 遠 方 へ行くのでは、さぞおなかがおすきだろう。よし
あ よし、おべんとうをこしらえて上げましょう。」
こにこしながら、
はや
ふたり わ た
「 早 くおじいさんと 二 人 で分けて食べましょう。」

もも

せんたくもの
と言って、 桃 をひろい上げて、 洗 濯 物 といっしょにたらいの

かえ
中に入れて、えっちら、おっちら、かかえておうちへ 帰 りました。
ゆうがた
せお かえ
夕 方 になってやっと、おじいさんは山からしばを背負って 帰 って
こ 「よし、よし、やるから、ついて 来い。」
さる 猿 もきびだんごを一つもらって、あとからついて行きました。

もり
のはら
山を下りて、 森 をぬけて、こんどはひろい 野 原 へ出ました。すると
そら
な こえ


空 の上で、「ケン、ケン。」と鳴く 声 がして、きじが一羽とんで来まし
た。
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日本の昔話——桃太郎
こども
からだ
ちから
まえの 子 供 にくらべては、ずっと 体 も大きいし、 力 がばかに
つよ
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