国際法と国内法の関係について
国際関係においては、国際法とある国の国内法が矛盾した内容をもち、この矛盾をどう
解決するべきかという問題が古くから、「一元論」(monism)対「二元論」(dualism)として争われてきた。
特に国際法優位主義の「一元論」は、国際法秩序が各国の国内法秩序を包
合し、全体として国際法が優位するとする。
「二元論」とは、国際法秩序と各国の国内法
秩序は、独立した関係にあるとする立場である。
ただし、これは、国内法秩序、国際法秩
序がそれぞれ無視しあってよいということではなく、最近では、国際法遵守義務が定めら
れている互いに尊重し調整しあうという「等位理論」が有力になっている。
実定法上の国際法と国内法の効力関係について説明するが、そのためには、国際法レベ
ルの関係と、各国の国内法レベルの関係に区別して考えなければならない。
国際法のレベルでは、国は国際法上の義務を免れるために国内法を理由とはできないと
いう考えが、国家実行上も学説上も確立している。
また、条約法条約27条は、「当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として時刻の国内法を援用することができない」と規定する。
このように、国際法のレベルでは国際法は国内法に優越するが、実際には、国際法はそ
の義務を国内においてどのように実施するかについて国に広範な裁量の余地を認めている。
国内法のレベルで国際法にどのような効力を与えるかは、各国の国内法とくに憲法が
定める。
日本の学説では、国際法を国内法に一般的に受容してその国内的効力を認めるも
のと、国際法に国内的効力を与えるために特別の立法、つまり国内法への変形を要求する
ものである。
現在では多くの国が一般的受容方式をとっており、このような国では条約締結手続以
外に特別の措置をとることなく、条約の国内的適用が可能である。
もっとも、このような
国においても裁判所において条約が直接適用可能なためには、つまり条約に裁判規範性を
認めるためには、当該条約が国内法上の問題について内容は明確で国の裁量の余地がない
ような規定をおいていることが必要であり、このような条件をそなえて直接適用が可能な
条約を自動執行的な条約(self-executing treaties)という。
他方、慣習法の場合は条約と違ってその成否や内容の不明確であって国内的適用には
困難が伴うが、諸国の憲法では一般に一般的受容の方式がとられているとされる。
日本国憲法98条は、憲法の最高法規性に対する優位を規定するとともに、「日本国
締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することが必要とする」(同
条2項)と定める、この規定は、行政・司法当局は条約を遵守しまたはその遵守を確保し
なければならず、条約は国内法より高い地位を有するものであって、裁判所が国内法と条約が矛盾すると判断した場合には後者が優先し、当該国内法は無効とされる化改正されねばならないことを意味する。