第11課【内容1】商品が届かない、ネットオークションのトラブル。
クエスチョン。
インターネットオークションに初めて挑戦したんです。
デザインが気に入った指輪。
もちろん新品を、意外と簡単に、予算内の12万円で落札できました。
早速、代金を振込み、商品が届くのを楽しみに待ちました。
ところが、約束の日時を過ぎても、届きません。
出品者に何度もメールで催促しましたが、「指輪のサイズ直しをしている。
もう少し待ってほしい。
」と言われ、半年も待たされています。
オークションの主催者は、「同様の苦情が寄せられたので、出品者を退会処分にした。
トラブルは当事者同士で解決するように。
」と言って、間に入ってくれません。
どうしたら、いいのでしょうか。
アンサー。
ネットオークションの人気は高く、月に数百万人が参加する市場とも言われています。
仕組みは、売り手が出品した品物を、購入希望者が入札し、最高値をつけた人が購入権を獲得するというものです。
ネット上の取引でも、相手が事業者であれば、訪問販売法の規制を受けますが、事例のようなトラブルが絶えません。
ましてや、個人間の取引の場合は、規制の対象にすらなっていません。
他にも、出品者と連絡が取れない、汚れていた、壊れていたなどの苦情や、利用者が利用結果を評価する評価欄で、互いを誹謗中傷するトラブルも発生しています。
事例では、出品者の所在地が分かっているので、書面で品物の引渡し、または返金請求をし、解決しない場合は、民事調停や少額訴訟に持ち込む方法があります。
出品した品物がもともと存在しなければ、詐欺の疑いもありますので、警察に相談することになります。
一人で不安な場合は、消費生活センターに相談しましょう。
オークションの主催者は、「サイトは単なる場の提供なので、トラブルには関与しない」との立場ですが、犯罪防止のために、登録を有料化したり、クレジットカードによる本人確認を厳格にしたり、損害保険をつけるなど、対応は様々です。
さらに、代金決済や商品の配送業務を、当事者に代わって、第三者が行う、エスクローサービスを採用したところもあります。
信用の置けるサイト選びが重要になりますが、それとともに、入札前に品物の状態、取引条件、相手の住所、氏名、電話番号などをよく確認し、代金の前払いは避けるなどの注意が必要です。
【内容2】通信販売でカメオが格安。
その事業者は信用できますか。
クエスチョン。
カメオブローチの通信販売の広告を見ました。
以前から、カメオは欲しかったし、写真では、かなり高級品の雰囲気なのに、1万円ととても安く、返品も可能で、しかも代引配達にすると、ペンダント無料プレゼントというので、思い切って申し込みました。
数日後、商品が届き、お金を払いましたが、肝心のカメオは広告とは全く違う、プラスチック製のような貧弱なものでした。
がっかりして、すぐ返品しましたが、販売会社から連絡はなく、電話をしても全く通じません。
これは返金されないのでしょうか。
アンサー。
流行のインターネットショッピングからテレビショッピング、カタログ通販、チラシ広告まで、遠距離取引の可能な通信販売では、様々なトラブルがあります。
今回の事例では、代引配達を利用していますが、これは商品を受け取る時に代金を支払う方法で、通信販売でよく利用されています。
また、通信販売では、返品特約といって、返品できるのかできないのか、できる時は期間や方法などを広告に表示することになっています。
カメオはイタリアやドイツで作られる、貝や石に透かし彫りをしたアクセサリーを言いますが、高価な物が多いようです。
今回の事例では、返品特約が付いていたので、商品を販売会社の指定通り、郵便局留めで返送しました。
しかし、販売会社は引き取りに現れず、所在不明で、連絡も取れません。
郵便局留めの場合、一週間の保管期間内に、受取人が現れないと、差出人に返送されます。
事例のケースでは、商品は消費者に返送されましたが、残念ながら、支払ったお金は戻りませんでした。
通信販売では、このような事業者の所在不明や倒産などの被害以外にも、誇大広告、商品が届かない、商品が不良品だったなどの苦情が出ています。
消費者としては、広告、取引条件をよく読むこと、何よりも、信用できる事業者を選ぶことが、被害に遭わない第一歩と言えます。
【内容3】(?)のはずが、結局、パソコンを買わされるだけかも。
内職商法に法規制。
クエスチョン。
昨日、折り込みチラシで、「自宅でお仕事、月収20万円」の求人広告を見て、営業所へ行きました。
説明を聞くだけのつもりでしたが、すぐに面接を受けるようにと言われ、面接を受けたところ合格しました。
「在宅でインターネットのホームページを作成し、そこへ広告を掲載する人を探す仕事である。
作業上の不明点は、いつでも専門の者が指導するので心配いらない。
すぐにでも、仕事が始められる。
パソコンと技術取得のためのCD-ROMを購入してもらうが、代金は内職の収入で十分に支払える。
」と説明され、分割払いで、パソコンとCD-ROMの購入契約(約98万円)をしました。
でも、よく考えると、仕事がなければ、支払いのみが残ることになり不安です。
今から辞められるでしょうか。
アンサー。
最近の不況で、簡単に収入を得られるといううたい文句で、高額の商品を買わせる内職商法の苦情が増えています。
最近では、インターネットブームに乗って、ホームページを作成する内職の相談も急増してきました。
主なトラブルには、電話で、「ホームページ作成内職で、月2、3万円の収入を得られる。
講習を受け、簡単な試験に合格すれば、仕事をあっせんする」と勧誘され、後日、送られてきた契約書簡を見てみたら、パソコンや教材の購入契約だったというケースや、試験が難しくて合格できず、仕事が紹介されない、期待した収入が得られないというケースがあります。
契約する前には、チラシやパンフレットの内容をよく見て、高額な負担があるのか、商品の購入や前払金の義務があるのかなどを、慎重に検討しましょう。
契約する場合も、重要な事項は、必ず書面で確認してください。
2001年6月1日から、訪問販売法が改正され、特定商取引法に名称を変更、事例のような取引は業務提供誘引販売取引として、規制の対象となりました。
書面を受け取ってから、20日間はクーリングオフができます。
クーリングオフをする場合は、葉書などで通知してください。
コピーを取って、配達記録、簡易書留などで証拠を残します。
心配な時は、消費生活センターに相談してください。
【内容4】このままでは髪がなくなると言われて。
クエスチョン。
20代の会社員です。
無料毛髪チェックのCMを見て、軽い気持ちで店に行きました。
ところが、カウンセラーが毛髪をカメラで映し、「すでに髪がひどく傷んでいる。
このままでは、どんどん抜けて、数年後には、髪は全部なくなる。
今すぐ、うちでケアしないと、間に合わない。
」と、強く言うので、大変不安になり、将来が真っ暗になった気がしました。
そのため、必要だと勧められるままに、育毛サービス、増毛サービス、かつら、シャンプーなど、総額200万円の契約をしてしまいました。
でも、自宅で洗髪したら、増毛はすぐ抜けるし、本当にこんなにたくさんの契約が必要だったのか、不思議になりました。
初めての高額のクレジットも、支払いが不安です。
今から、解約できますか。
アンサー。
育毛やかつらのCMがたくさん流され、発毛剤が人気を集めるなど、毛髪で悩む人は大変多く、相談窓口には、毛髪にかかわる様々なトラブルが寄せられています。
今回の事例の他にも、育毛の効果が全くない、増毛で髪が傷んだ、通うたびに次々と高額のケア商品を売りつけられた、薄毛の弱みに浸け込まれ、育毛の次は増毛、次はかつらと、十数枚も作らされたという苦情等があります。
今回の事例は店頭販売ですから、訪問販売法のクーリングオフは適用になれません。
ただし、自主的にクーリングオフ制度を設けている事業者も多く、その場合は、契約後一定期間内、多くは8日以内であれば、無条件で解約できます。
また、クーリングオフ制度がなかったり、あっても、一定期間を過ぎている時は、勧誘の際に消費者を不安に陥らせ、この方法しかないと言って、高額の契約をさせたことなどを手紙で申し出て、粘り強く解約交渉をすることになります。
一人で困難な時は、消費生活センターに相談してください。
育毛、増毛、かつらなどの契約をする時は、やはり、じっくり考えて、慎重に判断することが大切です。
【内容5】知っていますか、消費生活センターのこと。
消費生活センターとは、都道府県、区市町村の行政機関で、皆さんの消費生活をサポートするために、様々な事業を行なっているところです。
主な事業を紹介してみましょう。
1.消費生活相談。
悪質商法や商品事故などの相談に応じ、トラブル解決のための助言やあっせん等を行う。
2.消費者教育。
講座の開催や教材作成等を行う。
3.情報提供。
情報誌の発行、広告、企画展示、図書・資料室等により、情報提供を行う。
4.自主活動の支援。
自主活動の場の提供、学習活動の支援、啓発団体の育成等を行う。
5.商品テスト。
商品事故の原因究明や、商品の品質を評価し、情報を提供する。
例えば、ある消費生活センターでは、こんなことができます。
1.高校生が巻き込まれやすい悪質商法について、話を聞く。
2.食品の糖度や塩分などを測ってみる。
3.クレジットカードの仕組みを調べる。
4.環境にやさしい消費生活の工夫について調べる。
【内容6】消費者契約法って、どんな法律。
消費者契約法が、2001年4月1日に施行されました。
背景。
契約や販売方法に関する相談、苦情は、年々増えています。
そのようなトラブルを解決するための新しいルールとして、消費者契約法ができました。
目的。
契約は原則として、両当事者が対等な立場で締結することを前提としていますが、消費者と事業者の間には、情報量や交渉力に格差があります。
このような格差から消費者の利益を守るのが、消費者契約法の目的です。
ポイント一。
例えば、次の場合、契約を取り消すことができます。
1.嘘の情報を与えられた場合。
契約内容の重要な事項について、事実と異なることを告げられて契約した場合は、取り消すことができます。
例えば、中古住宅の購入で、「築5年です」という説明を受けて契約したが、後で調べると地区10年だったという場合です。
2.不確実な情報を、確実な情報として告げられた場合。
将来における変動が不確実な事項について、断定的な判断を提供され、契約した場合は、取り消すことができます。
例えば、営業マンに「円高にはならないから、絶対もうかる」と説明されて外債を購入したが、円高になって大損したという場合です。