1.私か田舎から北京へ来て、またたく間に6年になる。
その間、耳に聞き目に見た国家の大事になるものは数えてみれば相当あった。
2.動物はそれなりにその生活条件に適応している。
その中でも自然条件が動物に与える影響は大きいものである。
ところが人類は、生まれっいて文化環境の中に暮らす。
すなわち自然環境と接する場合にも、その間に文化というものが媒介するのである。
文化は言語によって仲間に、又時代に伝えられる。
人類は其れによって気まぐれな自然の脅威から巧みに身を守ってきた。
人類から文化を取り除いてしまえば、これほど無カで臆病な動物があるだろうか。
3.地図を調べてみても、人間が歩いていけそうな距離には村なんてない。
其れなのに、人が歩いている。
荷物らしい荷物も持たずに、頭に何かを載せただけで、ただただ歩いている。
4.私は彼女と長年苦しく愛し合っていたが、この愛は彼女を傷つけた。
その分、私自身も傷つけられた。
5ジェトロ青島事務所の開設を記念いたしまして、講演会のご案内をいたしましたところ、かくも多、くの皆様に御参集いただき、厚くお礼を申し上げます。
各界を代表するご高名の方がお見えでございます。
いちいちお名前を申し上げませんが。
心よりお礼を申し上げます。
ありがとうございました为了纪念ジュトロ青島事務所得开设,借演讲介绍来感谢大家在百忙之中,来出席这次演讲。
这次演讲的加宾有各界的知名人士,在这就不一一列举了,真得很感谢你们的捧场。
6.視聴率さえとっていれば、どんな「やらせ」をやろうとも、メデゖゕの責任を考えれば、モラルに反すると思うことをやっでも、大手を振ることができる世界で、それを見習ってい<人間と、そんなことはしたくないと気力が萎えてしまう人間が生まれ、富み栄えるのは前者ということになる。
7そればかりではない。
考えてみれば、要資格職業での学科試験中心の運営は、(こうした諸試験の合格率の高い大学を求めた偏差値中心の受験体制を促進強化する)ことにもつながっている中央線の奥のK駅からバスで十五分ほど揺られて、ようやくたどり着いたところに建売住宅が六戸建って、五年前そのーつに移ってきたとき、直子は、「島流しだわJと思った。
从铁路中央线的内部站搭共交巴士,晃悠上十五分钟左右终于来到的地方是六户连排的公售住宅.五年前当我们刚搬来这里的时候,直子就说有种被流放荒岛的感觉9.それまで暮らしたのは本郷千駄木町で、戦災にも焼け残った古い街が直子は好きだったが、夫の逸男は自分で探した家をその場で決めてきた。
「自然の眺めのよいところだろう。
何よりも空気がきれいで、土が真っ黒だ。
ここなら良も丈夫になるさ」と得意気に言った。
在这之前我们一直生活在本乡的千駄木町,直子很喜欢那里曾被战火烧毁的的旧街.我的丈夫逸男自作主张找到新地方便定了下来.还很得意地解释到「自然风光多好的地方,最重要是空气清新,连泥土都特别黑沃.在这扎根良儿也会健康茁壮.」10.子供はそのとき五歳で小児鳴息が直った後だが、ひ弱かった。
逸男はそれまで勤めていた広告会社の写真部を辞めてフリーになったので、退職金を頭金にあてた。
郊外のバス停留所の前に数軒の店があるきりの寂しい町である。
あたりに農家も点在していたが、バスが割合よく来るのは大きな植物園があるからで、季節が来ると花見の客で賑わった。
逸男は植物園へ取材に来たことがあって、この環境が気に入った。
当时时值五岁的小儿哮喘刚刚治愈,身体还很孱弱.丈夫由于辞掉了广告公司摄影部的工作开始做些临时职业,退职金就正好用来付掉了前期头款.小镇上就只有巴士站前的几家零星店铺,尤显寂聊.周围散布着数户农居,巴士班次增多也是在记者采访过附近的大植物园看上此处环境之后的事情.11.「少し寂しすぎるわ」「君は東京の真ん中しか知らないからさ。
都会のゕノぐートで良を相手に暮らしても、子供の健康に繋がらないよ」「あなたは人物専門だから」と直子は冷かした。
彼女の口調に皮肉の響きはないo’ずっと前から、いや、結婚する前から、彼の奔放な、熱し易く冷め易い気質を知っていた。
まだ.同じゕパートに住んでいたころ、直子は母と二人暮しだったが、親しくなると若い彼は夜食を食べにきたり、サラリーの前借りにきたりした。
直子の母はどこがよいかいそいそと食事の支度をしてやり、恩給の大半を貸してやったりした。
若い男が都会の孤独に陥る危なさを支えてやっている気かもしれなかった。
「太僻静了点吧!」「嗨!你就知道东京的繁华闹市.在都市的公寓里带着良儿一起住,对孩子的健康是不会有好处的」12.【原文】母を持っ娘の成り行きから彼女は勤めが長引いて、結婚の時期を逸してしまい、母を亡くした時は三十代の半ばになっていた。
若い男はその時二十五歳であった。
二人の間は、あれは何であったのか。
母の死を悼みあったことから母の代わりに逸男を包んだ愛情が、男と女の性に成り変ったのか、気がついてみると直子は身龍っていた。
彼は仕事柄女性との付き合いも多い。
好きな娘がいればいつでも身を退こうと決めたが、子供だけは自分の手で育てたかった。
彼女の母も若い夫を戦争で失った。
女手一つで直子を育てたのだった。
13.若かった逸男はその後も独身づらで好きなことをしながら、切れもせず、直子と良を郊外へ住まわせた。
半ばは捨てたということだろう。
日曜日も取材の仕事が入って帰らないと、幼かったころの良は、ノぐパが来ない、と泣きペそをかいたが、五年した今は、直子より頼もし<なった。
夏休みにプールで泳ぎ始めてから体も丈夫になって、今も続けている。
直子は苦笑したが、肉体の自由は魅カがあった。
彼女は逸男に愛されている時も、ふと疑わしい気持ちになることがある。
本当はお互いに別れの相手があって、彼は若い女性を愛し、自分も年相応の男の落ち着いた愛に情念を燃やすのが幸せではなかったのか。
逸男の持つときのどこかしら若い男の危なさに、気の休まることはなかった。
実際の年の差は、女にとって重いうしろめたさであった。
彼が男盛りの三十五歳なら、彼女はすでに女の峠を越え始めていた。
髪に白い筋を見ると、彼女は引き抜いた。
あふれた黒髪に白い線が悪意のように覗くのを、恐れなければならない。
14.いったが、彼は団梁の暇もなく、月の終わりは仕事で沖縄へ行(という。
「沖縄のどこへ行くの」と良が聞いた。
「石垣島から竹富島へ行くんだ。
古い島の屋根瓦や、青い海を背景に、宣伝写真を撮るのさ」「また女か」少年特有の甲高い声が響<と直子はぎょっとし、一瞬おくれて逸男が何だ、其れはと言った。
「パパは女性派なんだろう。
女を取るとうまいんだね」「誰が言った」「正男さんが言ったJ15.これ、良いポートレートね」直子は何気なくボーッシュな若い女の匂ってくる体臭の濃さをみつめた。
肉体が弾んでいるのだ。
逸男はなにも答えなかった。
女性派か、それはそうに違いない、と彼女も思う。
子供が父親になにか言っても、彼女は将外にいて、加わらない。
一人っ子に対して淫したところのないように、その心得は逸男にも通じるものだった。
夫に年甲斐もなく甘えては、醜くなりそうで怖かった。
16.ースター島はヤシの森に覆われていたこのなぞを解決したのが、わたしたちの研究だった。
わたしはニュージーランドのマセ大学J・フレンリー教授とともに、ースター島の火口湖にボーリングをして堆積物を採取し、堆積物の中に含まられている花粉の化石を分析してみた。
すると、ースター島にポリネシゕ人が移住した五世紀ごろの土の中から、ヤシの花粉が大量に発見されたのだ。
このことは、人間が移住する前のースター島が、ヤシの森に覆われていたことを示している。
17.ラノ・ララクの石切り場には、作りかけで放棄されたモゕや、運ぶ途中で放棄されたモゕが二百六十体以上も残されている。
おそらく森が消滅した結果、海岸までモゕを運ぶことができな<なったのであろう。
18.文明はなぜ崩壊したのか千体以上のモゕの巨像を作り続けた文明は十七世紀後半から十八世紀前半に突然崩壊するいったい何があったのだろうか。
19わたしたちは、文明を崩壊させた根本的原因は、森の消滅にあったとみなしている。
かつて島が豊かなヤシの森に覆われていた時代には、土地も肥え、バナナやタ口モなどの食料も豊富だった。
しかし、森が消滅するとともに、豊かな表層土壌が雨によって浸食され、流失してしまった。
火山島はただでさえ岩だらけだ。
その島において、表層土壌が流失してしまうと、もう主食のバナナやタ口モを栽培することは困難となる。
おまけに木がな<なったため船を造ることもままならな<なり、たんIず<源の魚を捕ることもできな<なった。
20.こうして、ースター島は吹第に食料危機に直面してい<ことになった。
それを端的に示すのが、ニワトリ小屋と人間の家屋の変化である。
当初はニワトリは放し飼いにされ、人間も開放的な家に生活していた。
ところが文明の末期になると、ニワトリは厳重な石小屋の中で飼われるようになり、人間も、一人がやっと通れる小さな入り口しかない石造りの家の中で生活するようになる。
ニワトリを盗まれないように、また、敵から自分の身を」守るために、人間もニワトリも厳重な石造りの家の中で生活することを余儀なくされたのだ。
21.絶海の孤島のースター島では、飢餓に直面したとき、どこからも食料を運んでくることができなかった。
地球も同じである。
広大な宇宙という漆黒の海にぽっかりと浮かぶ青い生命の島地球。
その森を破壊し尽くしたとき、その先に待っているのはースター島と同じ飢餓地獄である。
とするならば、わたしたちは、今あるこの有限の資源をできるだけ効率よ<、長期にわたって利用する方策を考えなければならない。
それが、人類の生き伸びる道なのである。
22.例1彼の編集上の才能というのも要するに演技にすぎなかったということが僕にもだんだんわかって米たんです.彼は甲の評論家を訪問して、政治評論を書いてもらうには誰が良いかとたずねる。
そこで乙氏がよかろうと聞くと、今度は編集会議の席でもって、政治評論は乙でなくてはならんという些申.を沼酒と述べる。
それがみな甲の受け売リなんです.ついでに丙は駄目だという理由まで、甲の説をそのまま自説みたいにして述べ立てる。
彼自身には何の定見もないんです。
23.それでいつの間にか、眠リに落ちた。
尿意をおぼえて眼をさまし、サドテーブルの上に置いた腕時計を見ると、午前三時だった。
上体を起こした彼は、ふと窓の外を見て、どきリとした。
この窓から型ヒめ二.夜景は、彼にとってすでにすっかリなじみのものになっているはずだが、その時、彼の眼に映じた光景は異様だった.いつも見なれている夜景とは別のものがそこにあった。