文法26名詞+を(1)1.~を~に(して)/~を~にする/~を~にした/~を~として/~を~とする/~を~とした解説:~を~と見る。
例文:①戦後五十年を一つの区切りとして、平和の大切さを時代に伝えなければならない。
②この大会に参加できるのは社会奉仕を目的とする団体だけです。
2.~を中心に(して)/~を中心にする/~を中心にした/~を中心として/~を中心とする/~を中心とした解説:~が中心である。
例文:①今度の台風の被害は東京を中心に関東地方全域に広がった。
②この研究会では公害問題を中心とした様々な問題を話し合いたいと思う。
3.~をきっかけに(して)/~をきっかけとして/~を契機に(して)/~を契機として解説:~が契機である。
例文:①夏の軽い登山をきっかけに、私は山登りに興味を持つようになった。
②ある日本人と友達になったことがきっかけで、日本留学を考えるようになった。
③今度の病気、入院を契機として、今後は定期検診をきちんと受けようと思った。
4.~をもとに(して)/~をもとにする/~をもとにした解説:~を素材にして/~からヒントを得て。
例文:①北欧の古い歌をもとに、新しい音楽に作り変えたのがこの曲です。
②戦争体験者の話してくれたことをもとにして、このテレビドラマを創作しました。
5.~のもとで/~のもとに解説:~を頼って/~の下で例文:①私はいい環境、いい理解者のもとで、恵まれた研究生活をおくることができた。
②この鳥は国の保護政策のもとに守られてきた。
6.~をはじめ(として)/~をはじめとする解説:~に代表となるものをあげ、「同グループのほかのものもみんな」と言いたい時。
例文:①ご両親をはじめ、家族の皆さんによろしくお伝えください。
②アジアで行われた初めての世界女性会議には、アメリカをはじめとする世界各国の女性代表が参加した。
7.~を皮切りに(して)/~お皮切りとして解説:~から始まって、その後次々に。
例文:①そのバンドは東京公演を皮切りに、各地で公演をすることになっている。
②彼の発言を皮切りにして、大勢の人が次々に意見を言った。
8.~をぬきにして/~はぬきにして解説:~を入れないで;普通は含まれるもの、当然あるものを加えずに。
例文:①交通機関についての問題は乗客の安全をぬきにして論じることはできない。
②今日は硬い話はぬきにして、気楽に楽しく飲みましょう。
9.~をぬきにしては解説:~を考えに入れないと、後の事柄の実現が難しい。
例文:①料理の上手な山田さんを抜きにしては、パーティーは開けません。
②モーツァルトの一生は父との旅を抜きにしては語ることができない。
10.~ぬきで/~ぬきに/~ぬきの解説:~を入れないで;普通は含まれるもの、本来当然あるべきものを加えずに。
例文:①今晩の会はアルコール抜きのパーティーなんですよ。
②田中君の就職について、本人抜きにいくら話し合っても意味がない。
11.~をものともせず(に)解説:~に負けないで;困難に負けないで、何かに勇敢に立ち向かう。
例文:①山田選手はひざの怪我をものともせず決勝戦に出ました。
②彼は体の障害をものともせず勇敢に人生に立ち向かった。
12.~をよそに解説:~を自分とは無関係なものとして。
例文:①手術が終わった後、子供は親の心配をよそに、すやすやと寝入っている。
②家族の期待をよそに、彼は結局大学には入らずにアルバイト生活を続けている。
文法27名詞+を(2)1.~をめぐって/~をめぐる解説:~を議論や争いの中心点として。
例文:①この規則の改正をめぐって、まだ討論が続いている。
②マンションをめぐる争いがようやく解決に向かった。
2.~をこめて解説:~を含めて。
例文:①私たちの感謝をこめてこの文集を作りました。
②昔の子どもたちは遠足の前の日などに「あした、天気になりますように」と願いを込めて、照る照る坊主という小さい人形を作り、窓の外につるした。
3.~を通して/~を通じて(1)解説:~を手段として。
例文:①私はそのことをテレビのニュースを通じて知りました。
②社長に会う時は、秘書を通してアポを取ってください。
4.~を通して/~を通じて(2)解説:~の間ずっと。
例文:①人類の歴史を通して、地球のどこかで常に戦争が行われていた。
②この地方は一年を通じてほとんど同じような天候です。
5.~を問わず/~は問わず解説:~に関係なく。
例文:①この辺りは若者に人気がある町で、昼夜を問わずいつもにぎわっている。
②この会には年齢、性別は問わず、いろいろな人を集めたいのです。
6.~にかかわらず/~にかかわりなく解説:~に関係なく。
接続:名詞以外は、普通体。
例文:①このデパートは曜日にかかわらず、いつも込んでいる。
②お酒を飲む飲まないにかかわりなく、参加者には一人三千円払っていただきます。
7.~を禁じ得ない解説:物事の様子や事情を見て、心の中から自然にそのような気持ちが起こってきて、抑えることができない。
例文:①戦災で家も夫も失い、小さい子供を抱えて逃げ回ったという彼女の話を聞いて、私は涙を禁じ得なかった。
②建てたばかりの家が地震で壊れてしまったそうだ。
まったく同情を禁じ得ない。
8.~をもって解説:~で。
例文:①本日をもって今年の研修会は終了いたします。
②これをもちまして第十回卒業式を終了いたします。
9.~をもって(すれば/しても)解説:~を用いてあることをする。
例文:①誠実な田中さんは非常な努力をもって問題解決に当たりました。
②今回のアルバイトで私は働くことの厳しさを身をもって経験した。
③彼の実力を持ってすれば、金メダルは間違いないだろう。
10.~をおいて~ない/~おいて~いない解説:~以外に他にない。
例文:①この仕事をやれる人はあなたをおいて他にいないと思います。
②こんな嫌なことを引き受ける人は彼をおいて誰もいない。
11.~を余儀なくされる解説:自然や自分の力では及ばない強い力で仕方なく~される。
例文:①せっかく入った大学であったが、次郎は病気のため退学を余儀なくされた。
②お金がないため、退学を余儀なくされた。
12.~を余儀なくさせる解説:自然や自分の力では及ばない強い力で仕方なく~させる。
例文:①人件費の高くなったことが新しい支店開設の中止を余儀なくさせた。
②資金不足は、その工事の中止を余儀なくさせた。
文法28名詞+と(1)1.~といえば/~というと解説:~を話題にすれば、すぐ連想されることを言う時。
例文:①今年は海外旅行をする人が多かったそうです。
海外旅行といえば、来年みんなでタイへ行く話しが出ています。
②この町に新しく病院ができた。
病院というと、ただ四角いだけの建物を想像するが、この病院はカントリーホテルという感じのものだ。
③山田:林さんが結婚したそうです。
挨拶状が来ました。
田中:林さんというと、前にここの受付をしていた林さんのことですか。
2.~はというと解説:一方~はどうかというと。
例文:①父も母ものんびり過ごしています。
私はというと、毎日牛か馬のようにただ忙しく働いています。
②ここ10年間で保育所の数は大幅に増えたようだ。
しかし、私の地域はというと、まったく増えていない。
3.~といったら解説:驚いたり、呆れたり、感動したりなどの感情をもって話題にする時。
例文:①あの学生のまじめさといったら、教師の方が頭が下がる。
②広いキャンパスや市民開放のプールなど、この大学の施設と言ったら、驚くものばかりです。
4.~といい~といい解説:~も~も;ある事柄について、いくつかの例を取り上げて「どの点から見ても~だ」と話す人の評価を言いたい時に使う。
例文:①デザインといい色といい、彼の作品が最優秀だと思う。
②頭のよさといい気のやさしさといい、彼はリーダーとしてふさわしい人間だ。
5.~といわず~といわず解説:~だけでなく~だけでなく。
例文:①彼の部屋は机の上といわず下といわず、紙くずだらけです。
②手といわず足といわず、子供は体中泥だらけで帰ってきた。
6.~ときたら解説:非難、不満の気持ちをもって話題にする時に使う。
例文:①お宅の息子さんは外でよく遊んでいいですね。
うちの子ときたらテレビの前から動かないんですよ。
②周りの家はみんなきれいなのに、我が家ときたら草がいっぱい生えているし、塀も壊れかけている。
7.~とは/~というのは解説:~の意味や定義を言う時。
例文:①教育ママとは自分の子供の教育に熱心な母親のことです。
②水蒸気というのは気体の状態に変化した水のことである。
8.~ともなると/~ともなれば解説:~という程度の立場になると。
例文:①一国の首相ともなると、忙しくてゆっくり家族旅行などしてはいられないだろう。
②大学四年生ともなれば、就職その他で大忙しだ。
9.~と相まって解説:~と影響し合って;ある事柄に、~という別の事柄が加わって、より一層の効果を生む。
例文:①彼の才能は人一倍の努力と相まって、見事に花を咲かせた。
②彼の厳しい性格は、社会的に受け入れられなかった不満と相まって、ますますその度を増していった。
文法29名詞+と(2)1.~として解説:~の立場で;~の資格で;~の名目で。
例文:①私は前に一度観光客として日本に来たことがある。
②古代ギリシャで初めて学問としての数学が始まった。
2.~として解説:最小のものを挙げて、「~も~ない」と全否定を強く言う言い方。
(2と4の解説同じですが)接続:「一+助数詞」の形が多い。
例文:①家事で焼けてしまったため、私の子供の頃の写真は一枚として残っていない。
②娘が突然いなくなって以来、私は一日として安らかな日を過ごしたことはない。
3.~たりとも解説:最小のものを挙げて、「~も~ない」と全否定を強く言う言い方。
接続:「一+助数詞」の形が多い。
例文:①彼の働きぶりは一分たりとも無駄にしたくないという様子だった。
②開会式までの日数を考えると、工事は一日たりとも遅らせることはできない。
4.~といえども解説:最小のものを挙げて、「~も~ない」と全否定を強く言う言い方。
接続:「一+助数詞」の形が多い。
例文:①日本は物価が高いから、一円と言えども無駄に使うことはできない。
②私は一日と言えども仕事を休みたくない。
5.~といえども解説:~でも;~と言っても。
例文:①たとえ宗教と言えども、人の心の自由を奪うことはできないはずだ。
②どれほどの悪条件と言えども、一度決めた計画は必ず実行しなければならない。
6.~たる解説:~の立場にある。
例文:①国を任された大臣たる者は、自分の言葉には責任を持たなければならない。
②一国一城の主たる者、一回や二回の失敗であきらめてはならぬ。
7.~ともあろう解説:~のような。
例文:①大会社の社長ともあろう人が、軽率な発言をしてはいけない。