みぜん-けい 0 【未然形】国文法で、活用形の一。
六活用形のうちで第一番目に置かれる。
その事じ態たいが未いまだ起きないことを示しめす形という意での命名。
一般に、口語では、助動詞「ない」「れる・られる」「せる・させる」などを伴うときの形と、助動詞「う・よう」を伴うときの形とを合わせていう。
文語では、助詞の「ば」、助動詞「ず」「む」「る・らる」「す・さす」「しむ」などを伴うときの形をいう。
未然形出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia )』 (2009/06/17 18:17 UTC 版)未然形(みぜんけい)とは、日本語の用言における活用形の一つ。
日本語の動詞や形容詞などは語形変化を起こすが、活用形とは学校文法において語形変化後の語形を6つに分類したもので、そのうち四段動詞の語末がア段で構成されているものを基準に作られたのが未然形である。
定義ていぎ未然とは「まだそうではない」という意味であり、否定ひていの「ず」や意志いし・推量すいりょうを表す「む」によって作られる語形ごけいを意識いしきした名称めいしょうである。
江戸えど時代じだいの国こく学がくでは将然言しょうぜんげんともいい、これは「そうしようとする」「そうなるだろう」の意味である。
「ず」や「む」をつけると四段よんだん動詞の語末ごまつはア段音に変化する。
例えば、「書く」は「書か|ず」「書か|む」となる。
これに基もとづき「ず」「む」が付いた際の他の動詞活用や形容詞・形容動詞・助動詞の語形を総称そうしょうしたものが未然形である。
未然形が定さだまると、逆ぎゃくに付属語ふぞくごの方の分類にも使われるのようになり、未然形に接続せつぞくする助詞・助動詞として「る・らる」や「す・さす」「まし」…があるというように使われるようになった。
なお現代げんだい口語こうごの文法もこれにもとづいて作られているが、意志・推量の「む」が「う」になったことや否定の「ず」が「ない」になったこととで語形が異ことなるものになっており、四段動詞は「書こう」のようにア段音+う→オ段長音に変化したので、五段動詞としてオ段音も含むことになり、形容詞・形容動詞では「おいしかろう」「静かだろう」のように「かろ」「だろ」となった。
また形容詞・形容動詞に「ない」がつくと「おいしくない」「静かではない」のようになるのであるが、「ない」を補助形容詞として連用修飾しゅうしょくの「く」や「で」としたので、形容詞・形容動詞において否定形は未然形から除外じょがいされることになった。
言語学から見た未然形形態けいたい論ろんから見ると、日本語の動詞は子音しいん語幹動詞ごかんどうしと母音ぼいん語幹動詞に分けられる。
四段動詞をローマ字分析ぶんせきすれば、kak|anai ・kak|imasu ・kak|u …のように変化していないのはk などの子音の部分ぶぶんまでであることが分かる。
この語の変化していない部分は語幹と呼ばれ、附属ふぞくしているものは語ご尾びと呼ばれるが、四段動詞は語幹が子音で終わるので子音語幹動詞である。
なおこの基準きじゅんからすれば、ラ行ぎょう変格へんかく活用・ナ行変格活用動詞も子音語幹動詞であり、特定の語尾がつくときに不規則きそくな語形をもつのみである。
一方、一段動詞や二段動詞は語幹が母音ぼいんで終わる母音語幹動詞である。
ただし、文語において語幹母音は母音交替こうたいを起こして2通りの語形をもっているが、現代口語こうごにおいては母音交替は起きず語幹は一定いっていである。
例えば「起きる」はoki|nai 、oki|masu 、oki|ru 、oki|reba …、「食べる」はtabe|nai 、tabe|masu 、tabe|ru 、tabe|reba のようにe かi までが語幹である。
ちなみにサ行変格活用やカ行変格活用とされる「す(する)」「く(くる)」はこういった規則に合わない語形変化をするので不規則動詞に分類される。
このように見ると、いままで未然形としてまとめられていたものは以下の2通りの方法によって形成けいせいされていること分かる。
一つには子音語幹動詞と子音から始まる語尾をつける場合に子音の連続れんぞくを避けるために母音が挿そう入にゅうされるもので、「ない」や「ず」「む」といった語尾が付くときには、つなぎに/a/が挿入されることによってア段音となるのである。
もう一つには母音/a/から始まる語尾がつく場合であり、子音語幹動詞には直接つき、ア段音となる。
一方、母音語幹動詞に付く場合は、母音が連続してしまうので、これを避けるために/r/や/s/が挿入される。
例えば受うけ身みなどを表す-(r)are-(れる・られる)や使役しえきなどを表す-(s)ase-(せる・させる)がこれであり、「書く」ではkak-are (書かれる)のようになるが、「食べる」ではtabe-rare (食べられる)のようにr が挿入される。
また形容詞・形容動詞は文語においてカリ活用やナリ活用といって「~からず」「~ならず」のようになるのであるが、これは語幹と否定の語尾「ず」との間に-ar-(あり)が入っているからである。
「あり」は単体たんたいでは存在を表す語であるが、語尾として使われると指定してい・措定そさだむの文法機能きのうを果はたしている。
このため、その活用は子音語幹動詞「あり」に準拠じゅんきょして「から」になる。
よって、この語形を分析ぶんせきすれば、以下のような構造こうぞうをしている。
•うつくしからず - ((utukusik 〈語幹〉 + ar 〈語尾〉)〈派生語幹〉 + (a)z 〈語尾〉)〈派生語幹〉 + u (語尾)ちなみに現代口語では「あらず」の代わりに「ない」が使われるようになり、「うつくしくない」のようになったのであるが、丁寧形では「ありません」というように「ある」が維持されており、形容詞・形容動詞の丁寧形でも「おいしくありません」「静かではありません」のように「ある」が使われている。
れんよう-けい 0 【連用形】用言・助動詞の活用形の一。
六活用形のうち第二番目に置かれる。
「白く光る」における「白く」のように、下の用言に続くときに使われる形。
他に、「山青く、水清し」の「青く」のように、文をいったん中止したり、「休み」「遠く」のように名詞に転用したりするのに用いられる。
なお、動詞の場合には、文語では助動詞「き・けり・たり」など、口語では助動詞「た」などに接続したりする。
また、文語の四段・ナ変・ラ変の動詞や口語の五段動詞には、本来の形のほかに音便の形があり、形容詞には本来の形のほかに音便やカリ活用の形もある。
連用形出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia )』 (2010/06/24 09:04 UTC 版)連用形(れんようけい)とは、日本語の用言における活用形の一つ。
日本語の動詞や形容詞などは語形変化を起こすが、活用形とは学校文法において語形変化後の語形を6つに分類したものであり、連用形はそのうちの一つで2番目に置かれる。
定義連用とは「用言に連なる」という意味であり、用言(動詞・形容詞・形容動詞)の前で現れる語形をもとに作られている。
この名は東条義門が『和語説略図』(1833年)において連用言として立てて以来のものである。
他の用言の前で四段動詞はイ段音となり、一段動詞・二段動詞はイ段音あるいはエ段音になる。
また形容詞は「く」の形をとり、形容動詞は「に」の形を取る。
このように定義を定めると助詞や助動詞の方の分類にも使われるようになり、連用形に接続する助詞・助動詞として「て」「つつ」「ながら」「き」「けり」「つ」「ぬ」「たり」…といったものがあるとされた。
またここから逆に、これらの助詞・助動詞の前で現あらわれる語形も連用形れんようけいに含ふくまれることになり、形容詞は「かり」、形容動詞は「なり」が現れ、動詞では音便形がこれに相当する。
問題点「連用」といい、用言に連なるという並びは確かに同じであるが、形容詞・形容動詞が修飾語の働きをして主要部が後ろの用言にあるのに対し、動詞は複合動詞などの前項要素として主要部が前の動詞にあり、文法的機能は異なっている。
動詞の連用形はそのままで名詞にもなる(「つなぎ」「賭け」「救い」など)。
連用形としての機能もこの名詞化機能が元になっていると思われる。
それに対し、形容詞の連用形は一般には名詞にならない(ただし「近く」「奥深く」「朝早く」など、時間・空間的な程度を表す形容詞は名詞化が可能)。
言語学から見た連用形語形変化のある語において変化しない部分は語幹と呼ばれ、それに付属することで文法的機能を担い、語形に変化をもたらすものを語尾と呼ぶ。
形態論により日本語の語形を音素レベルまで分解して考えると、動詞は子音語幹動詞と母音語幹動詞に分けられる。
子音語幹動詞は四段動詞・ラ変動詞・ナ変動詞のことをいい、ローマ字分析すると変化しない語幹部分は子音で終わっている。
一方、母音語幹動詞は一段動詞・二段動詞である。
ただし、現代口語においては母音交替は起こらず語幹は一定であるが、文語においては語幹母音は母音交替を起こして2通りの語形をもっている。
なおいわゆるサ変動詞・カ変動詞は不規則な変化をする不規則動詞である。
このように見る時、連用形に現れる-i-や-u-の音は、子音語幹が子音で始まる語尾や用言に結合する際に子音の連続を避けるためつなぎとして挿入されたものに由来している。
例えば、「食べます」はtabe-mas-u のように直接語幹につくが、「書きます」はkak-i-mas-u のようにiが生じている。
また四段動詞におけるウ音便・促音便・撥音便は、つなぎの-i-が挿入されないことによって生じている。
例えば、「立って」はtat-te である。
また形容詞・形容動詞は文語においてカリ活用やナリ活用と言われる活用をもつが、これは語幹と語尾との間に-ar-(あり)が入るものをいっている。
「あり」は単体では存在を表す語であるが、語尾として使われると指定・措定の文法機能を果たしている。
よってその活用は子音語幹動詞「あり」と同じく、「~かり~」や「~かった」となる。
終止形(文法)出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2010/07/17 19:12 UTC 版)終止形(しゅうしけい)とは、日本語の用言における活用形の一つ。
日本語の動詞や形容詞などは語形変化を起こすが、活用形とは学校文法(橋本進吉の文法論)において語形変化後の語形を6つに分類したものであり、終止形はそのうちの一つで3番目に置かれる。
なお日本語の辞書において見出しには終止形が使われている。