神の見えざる手
見えざる手(英 invisible hand)とは、アダム・スミスの言葉であり、国富論の第4編第2章に現れる術語であり、古典的自由主義経済における市場仮説を指す。
神の見えざる手(invisible hand of God)という名でも知られる。
概要
市場経済において各個人が自己の利益を追求すれば、結果として社会全体の利益が達成されるとする考え方。
スミスは個人が利益を追求することは一見、社会に対しては何の利益ももたらさないように見えるが、社会における個人全体が利益を追求することによって、社会の利益が神の「見えざる手」によって達成されると考えた。
スミスは、価格メカニズムの働き、最適な資源配分をもたらすもの、つまり需要と供給のバランスは自然に調節されると考えた。
スミスはそのために、国家は国防・警察・教育等の必要最小限以外の経済活動への参入を否定し、あとは市場機構による経済の発展を重視すべしとの立場をとり、国家の経済への介入を批判した。
スミスの国家観は「夜警国家」のそれであったということができる。
市場法則を神の摂理のようなドグマとして捉えたところに、実際の経済での検証の不足かつ、無責任かつ楽観的な考え方であるとする指摘もある(ジョン・メイナード・ケインズやその後継者達、市場の失敗、外部不経済、、フリーライダー、流動性の罠)。
さらに現実の市場参加者であるヘッジファンド創設者ジョージ・ソロスは「市場は必ず間違っている」と発言している。
また「市場は常に弱者、つまり確固たる信念を持たない投資家を完膚なきまでに叩きのめす。
」とも言っている(情報の非対称性)。
アダムスミスの仮説は、後の新自由主義やマネタリストのイデオロギーとなった。
『国富論』の大部分はヒュームやモンテスキュー、そして重農主義者チュルゴーといった思想家によって既に確立された理論の焼き直しと言われるものの、市場とそこでおこなわれる競争の重要性に着目することによって、近代経済学の基礎を確立した名著であることに変わりはない。
「見えざる手」という言葉は、この著の第四篇第二章で1回使われているだけにも関わらず、非常に有名である。
この文句の意味は、個人による自分自身の利益の追求が、その意図せざる結果として社会公共の利益をはるかに有効に増進させるというものであった。
ワシントン・コンセンサス(Washington Consensus)とは、ワシントンDC所在のシンクタンク国際経済研究所(IIE)の研究員で国際経済学者のジョン・ウィリアムソン(John Williamson)が1989年に発表した論文の中で定式化した経済用語である。
この用語は元来、80年代を通じて先進諸国の金融機関と国際通貨基金(IMF)、世界銀行を動揺させた途上国累積債務問題との取り組みにおいて、「最大公約数」(ウィリアムソン)と呼べる以下の10項目の政策を抽出し、列記したものであった。
(1)財政赤字の是正、(2)補助金カットなど財政支出の変更、(3)税制改革、(4)金利の自由化、(5)競争力ある為替レート、(6)貿易の自由化、(7)直接投資の受け入れ促進、(8)国営企業の民営化、(9)規制緩和、(10)所有権法の確立。
神の見えざる手
「神の見えざる手」
これはアダムスミスの有名な考え方ですね。
要するに「みんなが自由にものを作って、自由に取引すれば、経済はうまくいく」、というものです。
現代の資本主義経済の基礎的な考え方です。
それまでは、「労働はダサい」「金儲けは悪」とされていましたが、スミスはここで、「労働は人間にとって必要なものだよ。
それに、金儲けだっていいじゃないか!」と言ってみ
んなの考え方を変えていったのです。
特に商売については、「みんなが自分の利益を追求して、一生懸命働けば自然と経済がうまくいくのだ!」と言って、労働、利己主義、自由にお金儲けを行うことを良い事としました。
現代の先進国では、買いたい物はほとんど過不足なくありますね。
でもそれは、政府の偉い人が「今年はチョコボールがたくさん売れそうだな、、、。
よぅし、1万箱作りなさい」とか決めているわけじゃない。
ましてや占い師が占っているわけでもない。
1万箱売れる場合には自然に1万箱生産されるのです。
今年何がどれだけ売れるかなんて誰も予測できないはずなのに、結果的には大体必要な量だけ供給されている。
不思議ですね。
なんでだろう?♪なんでだろう?♪
これがアダムスミスが言った「神の見えざる手」なのです。
みんながもっと儲けようとして、自分の利益を追求していくと、自然とバランスが取れるのです。
どういうこと?
説明しましょう。
もしチョコボールの人気が高くなって商品が足りなくなってきたらどうなる?チョコボールの値段が上がりますよね。
そうすると、みんな「おっ!チョコボール作ったら儲かりそうだぞ!」と言って、どんどんチョコボールを生産し始める。
でもそうなると、だんだん供給量も増えてきて、需要と供給のバランスが取れ、値段が下がってくる。
希少価値がなくなるからね。
そうすると今からチョコボールを生産しても儲からないから、オレはやめておくよ」となって生産量はそれ以上増えません。
結局、需要にあわせて供給が増えて、うまくいくのです。
逆に売れない商品の場合はどうなるか?売れない商品は、需要より供給の方が多いので、売れ残る。
売れ残るとお店は値段を下げて売ろうとする。
だからその商品の価格が下がります。
商品の価格が下がると、「これを作ってても儲からないなぁ。
違うもの作った方が儲かるから、これはもう作るの止めよう」といって、どんどん生産を止めていきます。
その結果、供給量が減って、需要とのバランスが取れてくる。
だから結果的に需要と供給のバランスが取れて、うまく行くのです。
このように、みんなが自分の利益を求めて自由に商売すると、経済がうまくいくのです。
これが「神の見えざる手」。
この考え方は現代にも引き継がれていて、日本にも「政府は経済活動に介入すべきではない」という意識が根底にあります。