「日本文学作品選読」学期末課題
muyue
テーマ:□4
「すがすがしい満足」と「何もかもが一つに溶け合って感じられた」という気持ちは具体的にどんなものだろうか。
私は三つの感情があると考える。
一つ目は、旅の目的を達成して満足の気持ちだと推察できる。
「二十歳の私は自分の性質が孤児根性でゆがんでいると厳しく反省を重ね、その息苦しい憂鬱に堪えきれないで伊豆の旅に出て来ているのだった」から主人公は自分のゆがんでいる性質をどうにかしたいと思って旅に出たのが分かる。
踊り子の「いい人ね」という言葉によって癒されて「私自身にも自分をいい人だと素直に感じることができた」という結果が成就されたと考えられる。
二つ目は、踊り子に癒されて、澄んだ水のようにすがすがしい気持ちだと想像する。
小説の中ではこういうシーンがある。
「若桐のように足のよく伸びた白い裸身をながめて…頭がぬぐわれたように澄んできた。
」主人公は十七くらいに見えた踊り子がまだ穢れの知らない清らかな子供だと分かった。
ひとりそのシーンのみならず、「旅情が自分の身についた」、「詩を感じて」、「まぶたの裏はかすかに痛んだ」などから主人公は他愛のない踊り子にゆがんだ性質を浄化されて甘い快さをした。
三つめは、親しみだと思われる。
主人公は他人の人生に関わることができて、人間と人間の間の尋常でナイーブな愛情を感じただろう。
無邪気な踊り子からピュアな思いも、婆さんを助けるのも、主人公にとっては心外の親切さだろう。
他者との距離感をより強く感じる主人公は至極あたりまえのことだと思って何もかもが一つに溶け合って感じられた。
自分の孤児根性が洗われてこそ、主人公は世間に溶け込むことができるような気がしたかもしれない。
以上三つの気持ちがあると思う。
しかし甘美で清らかな旅の思い出があっても主人公は孤独感や虚無感に付きまとわれるだろう。