仏教用語集【あ】いうえお●愛別離苦(あいべつりく)会った者は、いつかは必ず別れなければならない時が来る。
その別れの苦悩のこと。
四苦八苦というときの八苦の一つ。
●阿修羅(あしゅら)大海の底に一大王国をもち、きわめて好戦的で勇猛な鬼神。
単に修羅ともいう。
●阿羅漢(あらかん)小乗仏教では、最高の悟(さとり)に到達した者を意味している。
修行者の最高の段階である。
●悪人正機(あくにんしょうき)悪人こそが、阿弥陀仏の救済の第一の対象となっているということ。
●行脚(あんぎゃ)僧侶が修行のために、善き師を求めて諸国、諸地方を回って歩くこと。
●安居(あんご)外出に適しない雨期の間、僧侶が一カ所に定住して静かに修行するならわしのこと。
四月十六日から七月十五日までの期間を夏(げ)安居という。
●安心(あんじん)仏の教えにより、不動の心の平安を得ること。
浄土教では、阿弥陀如来の本願を疑わず、極楽に往生できると信ずる心。
仏教用語集あ【い】うえお●一乗(いちじょう)「乗」とは、のりもののことで、大乗仏教の唯一究極の理のこと。
●一期一会(いちごいちえ)一期とは一生涯のこと。
今日のめぐりあわせは、生涯ただ一度だけのこととなるとの意味。
●一刹那(いっせつな)きわめて短い時間のこと。
一瞬のことと思えばよい。
●一箇半箇(いっこはんこ)ひとつと半分のことであるが、人間についていう場合、数のごく少ないこと。
●一即一切(いっそくいっさい)一がそのまま全体であり、全体の中に個があると共に、個の中に全体が含まれているという考え。
●一念三千(いちねんさんぜん)一念の心の中には、宇宙の森羅万象あらゆるものがそなわっているという意味。
●因果応報(いんがおうほう)ある原因によって、それにふさわしい結果が報われるということ。
簡単にいえば、善因善果・悪因悪果である。
果はまた因を生み、次の果をみちびいていく。
●因縁(いんねん)ある結果を生む直接の原因が因で、その因から結果に至らしめる間接の原因が縁。
あらゆるものは縁で生ずると仏教は説く。
●一蓮托生(いちれんたくしょう)極楽浄土の蓮の花の上に、共に生まれ出たいと一心に願うこと。
この意味が転化して、普通、運命を共にするという意味にも使われている。
仏教用語集あい【う】えお●有為転変(ういてんぺん)有為は因縁によってつくられた現象、存在であり、それが次々と変化していくこと。
●浮世(うきよ)憂世とも書く。
憂いと苦悩にみちた世の中、定めのない現世をいう。
●有象無象(うぞうむぞう)有形のものと無形のもの、すなわち一切のものをいう。
●有頂天(うちょうてん)天上界の九つの天のうち、最も高い天の名。
得意の絶頂にあることをもいう。
●優婆塞(うばそく)・優婆夷(うばい)仏教の男の在家信者が、うばそく。
女性の在家信者がうばい。
●雲水(うんすい)「行雲流水」を略した言葉。
雲のように、水のように天下いたる所を住み家として行脚する修行僧。
仏教用語集あいう【え】お●回向(えこう)自分の善行、功徳でもって、他人によい結果の生ずることを願うこと。
仏事を営み、死者の成仏を願うこと。
●衣鉢(えはつ・いはつ)僧侶の生活の要具である袈裟(けさ)と鉢のこと。
師匠が跡を継ぐ弟子にこれを伝授する。
●回心(えしん)信仰心のなかった今までの心をひるがえして、正しい信仰に入ること。
●縁覚(えんがく)自分ひとりの力で覚った人。
●縁起(えんぎ)因縁生起のこと。
ものごとの成立するさま。
●閻浮提(えんぶだい)仏教で説く世界の、中央にそびえる須弥山の南にある大陸。
人間世界を意味するようになった。
仏教用語集あいうえ【お】●往生(おうじょう)浄土へ往って、仏の世界に生まれること。
普通、死ぬことの意味にも用いられている。
●応病与薬(おうびょうよやく)釈迦は、医者が病人に薬を与えるように、人の悩みに応じて教えを説かれた。
その対機説法の意味である。
●送り火(おくりび)お盆には、門に苧殻(おがら)を焚いて霊を迎え、十六日にはまた苧殻を焚いて霊を送る。
これが送り火である。
仏教用語集【か】きくけこ●戒(かい)僧侶が守らなければならない規律、きまり。
●加持(かじ)仏の加被、つまり仏さまの威力によって、仏道修行が進むように祈ること。
●覚悟(かくご)煩悩の迷いから目覚めて正法を悟ること。
●廓然無聖(かくねんむしょう)ダルマ大師が、中国の梁(りょう)の武帝の問いに答えた言葉として有名。
つまり、からりと天地いっぱい晴れ渡っているようなもので、何もないという意味になる。
●果報(かほう)自分の行った業によって報われ、受ける楽果とか苦果のこと。
●灌頂(かんじょう)頭に水をそそいで、一定の資格があることを証明する儀式。
●勧請(かんじょう)仏や神がある場所に出座して、衆生教化するよう乞い願うこと。
●甘露(かんろ)仏教でいう諸天の神の飲料水。
蜜のように甘く、これを飲めば不老不死になるといわれる。
仏の説法のことをもいう。
仏教用語集か【き】くけこトップへ●鬼神(きしん)目に見えない、超人的な怪力を発揮するもので、善鬼神と悪鬼神とがある。
●帰命頂礼(きめょうちょうらい)自分の身命をなげだして全面的に仏を敬順すること。
●機根(きこん)人の根性、性質、賢愚、能力など。
●喜捨(きしゃ)寄進。
すすんで財施すること。
●金言(きんげん)釈尊の口(金口)から出た言葉。
一般には格言を指すようになっている。
●行儀(ぎょうぎ)出家した人の日常行為の規則のこと。
仏教行事の儀式のことをもいう。
●起請文(きしょうもん)願を起こし、あるいは衷情を訴えることで、神仏にかけて誓った文書。
●行水(ぎょうずい)一般にはタライなどの湯で身体の汗を落とすことをいっているが、元来の意味は、水浴などで身体のけがれを除き、清浄にすること。
水行。
●行住坐臥(ぎょうじゅうざが)人間の生活のありようの全ての面。
禅宗では、それがすべて坐禅となっていなければならぬと説く。
仏教用語集かき【く】けこトップへ●空(くう)この世の存在は、すべて因縁により成るもので、その本質とか実体はもともとないのだという意味。
●功徳(くどく)現在または未来に、よい果報をもたらすような善い行為。
●供養(くよう)仏あるいは死者の霊に、物を供えてまつること。
●庫裡(くり)供養や食事の調理などをする寺院の台所。
また住職やその家族の住んでいる建物。
●愚痴(ぐち)知恵がないため心が迷って、もろもろの事理に正しい判断がつかぬこと。
仏教用語集かきく【け】こトップへ●袈裟(けさ)僧侶が衣(ころも)の上に着用する儀礼用の布。
普通、金襴・金紗に紫・黄・青・赤などをまじえて作られる。
●結縁(けちえん)仏道に入って修行することの縁が結ばれること。
仏や菩薩が悩める人を救わんとして関係をつけること。
●血脈(けちみゃく)仏教の教えを、師から弟子へ代々伝えていくこと。
●結跏跌坐(けっかふざ)坐禅を組むとき、両方の足を組む。
すなわち、右の足を左の股の上に、左の足を右のももの上に上げる座り方。
●決定(けつじょう)仏教を固く信じて動揺しないこと。
●見性(けんしょう)自己の本性である仏性(ぶっしょう)を悟ること。
●下界(げかい)天界に対していう言葉。
人間世界のこと。
●解脱(げだつ)煩悩から解き放たれ、悟りの境地に入ること。
●外道(げどう)仏教徒以外の異教徒。
また仏教以外の宗教・教学。
●還俗(げんぞく)戒を破った出家が、俗世間に戻って俗人となること。
また自分の願いで僧侶をやめて俗世間にもどること。
仏教用語集かきくけ【こ】トップへ●居士(こじ)在家で仏道を修め、学修する男性。
●公案(こうあん)禅宗で、修行者を悟りへ導くため、とくに研究推考させる問題。
●江湖(こうこ)昔の中国の、呉越の要地である三江五湖のことで、そこから転じて、世間とか社会の意味につかわれている。
●乞食(こつじき)僧侶が一切の生業を絶ち、在家人に食を乞うて己れの肉体を保つこと。
普通、乞食(こじき)といわれるのは、仏道修行に関係なく物乞いする者である。
●根性(こんじょう)気力の本を根、善悪の習慣を性という。
●五悪(ごあく)殺生、偸盗、邪婬、盲語、飲酒をいう。
●五蘊(ごおん)色(肉体・物質)、受(感受作用)、想(表象作用)、行(行為形成力)、識(識別作用)の五要素で、人間の身体が成っているとする。
●五戒(ごかい)五悪を犯してはならないとする五つのいましめ。
●後生(ごしょう)後の世、つまり来世に生まれ変わること。
●業(ごう)煩悩に迷わされて犯す行為。
また前世の所行により、今生において受ける果報や運命。
●恒河(ごうが)インドのガンジス河のこと。
●極楽(ごくらく)西方十万億土の彼方にあるとされる、阿弥陀仏が教主の安楽国土。
無憂苦の理想社会。
●五欲(ごよく)人間の欲望を起こす色・声・香・味・触。
また、財欲、色欲、飲食欲、名誉欲、睡眠欲のこと。
●後光(ごこう)仏のからだから発する光。
また、仏像の背後に刻まれ、描かれた光背。
●五逆(ごぎゃく)父・母・阿羅漢殺し、仏身を傷つけること、僧団を破壊することの五つの罪。
仏教用語集【さ】しすせそ●賽銭(さいせん)神仏に対し、恩徳や利益に感謝してお金を捧げること。
●西方(さいほう)西方浄土のこと。
また極楽浄土のある方角。
●三帰依(さんきえ)仏・法・僧の三宝に誠心をささげること。
●作務(さむ)禅宗で、自給の僧院生活に必要な日常作業のこと。
●生飯(さば)食事のときに、飯の一部をとり分けておいて、幽界の衆生や鬼神、鳥獣などに供するもの。
●散華(さんげ)仏教の儀式において花をまき散らすこと。
紙製の花弁をまくことが多い。
●三界(さんがい)衆生が生死流転する世界。
仏教の宇宙論では、欲界・色界・無色界の三つに分かたれる。
●三世(さんぜ)過去世、現世、来世をいう。
●三塗(さんず)三途とも書く。
地獄・餓鬼・畜生の三つの悪道。
●三毒(さんどく)三垢(さんく)ともいい、むさぼり、いかり、おろかさの三つの迷い。
●三昧(さんまい)心を平静にし、他念なく注意を一心に集中した状態。
●三十二相(さんじゅうにそう)仏にそなわっている三十二種の特徴。
●僧伽(さんが)和合衆ともいわれる。
比丘(びく)、比丘尼(びくに)が集まって成る教団。
仏教用語集さ【し】すせそトップへ●四恩(しおん)父母の恩、衆生の恩、国王の恩、三宝の恩(仏・法・僧の恩)をいう。
●色(しき)物質のこと。
●四苦八苦(しくはっく)生・老・病・死の四つの苦しみと、愛別離苦・怨僧会苦・求不得苦・五陰盛苦の四つを加えて八苦という。
●四諦(したい)人生のすべてを苦とする苦諦。
苦は煩悩に由来するとする集諦(じったい)、煩悩を滅すれば苦も滅するとする滅諦、それに至るには仏道を実践しなければならぬとする道諦の四つをいう。