アンダーカット (Under Cut)成形後、成形品を型開閉方向に取出せないような形状のこと。
成形品に食い込んだ形状や突起物があると、そのまま型開閉方向に取出せない。
そのため、食い込んだ形状や突起物がある金型部分を成形品を取出す前に、機械的な方法でアンダーカット部を取外し、成形品を取外し可能な状態にすることをアンダーカット処理という。
ガス抜き (gas vent)成形材料に含まれる水や空気、また成形中に発生する水やガス、及び成形前の金型キャビティ内にあった空気を金型の外に逃がすこと。
大型の成形品や肉厚の大きい成形品を成形するときに、この操作を行わないと成形品に膨れを生じたり、表面に気泡が残ったりして、成形品の外観を悪くする原因となる。
通常は金型に溝を掘ったり、エジェクタピンの穴を兼用して金型の外に逃がすようにしている。
下図ではランドがガス抜き、エア抜きをする部分。
可塑化 (Plasticating)応力を取り除いても、もとの形状に戻らなくなることを可塑性というが、成形材料に熱を加えて溶融化することを可塑化という。
射出成形では、射出装置内にあるスクリューシリンダで成形材料をかき混ぜて、そこで発生するせん断発熱により、成形材料が溶けて液状になることを可塑化という。
型締め時間 (Clampig Time)・型閉め時間 (Closing Time)型締め時間は型閉めによって金型が密着されてから、型締め力が昇圧する時間のこと。
型締め時間は成形機固有で変化しない。
型閉め時間は金型を閉め始めてから完全に閉め終わり、金型が密着するまでの時間。
型閉め時間は金型の移動量や形状(厚さ)により変化する。
型閉めは最初は高速で閉じるが、スライドコアやアンギュラピンが作動する直前より低速で閉じる。
このため、型閉め時間を調整するときは速度を変える位置や低速ゾーンの速度で調整する。
型閉め時間は短いほうが成形サイクル時間が短縮されるが、型締めを確実に行わないと成形不良の原因となるので時間よりも確実に型締めが行われるように設定する。
型締め力 (Clamping Force)・型閉め力(Closing Force)型締め力は射出される溶融プラスチックの圧力に対して金型を閉じておくために金型に加えられる力のこと。
型閉め工程で閉じられた金型の密着を確認後、成形機の公称能力の型締め力まで昇圧する工程。
成形機には金型を締め付ける最大値が使用され、成形機の大きさを表現する代表的な数値である。
型閉め力は型開き限より金型の可動側が固定側に密着するまでの工程金型を型閉じ完了まで低圧で閉じ、金型の破損を防止する。
型閉め力は通常、2段階に設定されていて、型閉め初期には低圧、型閉め完了直前に高圧となる。
型を閉じるとき、勢いよく閉じると金型に衝撃を与え変形するため、2段階の型締め速度にしている。
また、金型内に異物などが残っていた場合に、金型を傷つけたり、破損することを防止している。
金型の型閉め、型締めは次のような工程になる。
高速型閉め→低速型閉め(金型保護回路が作動する)→型締め(昇圧)キャビティ (Cavity)金型で成形品が成形される隙間のことをいう。
また、金型自体の凹部のことをいう場合もあり、通常、固定側型板に加工する。
クラック (Crack)成形品が内部の応力、外部からの衝撃や環境の影響などを受けて生じた割れのこと。
クランプ・スペーサー (Clamps・Spacer)可動側・固定側取付板を成形機の可動盤・固定盤に取付ける場合に用いる段取り工具。
スペーサーはクランプをセットするための敷き板で、クランプはボルトによって固定側・可動側取付板を押さえつける。
ゲート (Gate)ランナーから金型キャビティ内に溶融プラスチックを流入するときの入口。
溶融プラスチックの流れや溶融状態を制御する部分で成形品の一番肉厚の大きい部分に位置する。
また成形後、不要となるランナー部を成形品と切り離しやすくしている部分でもある。
大きさは小さすぎるとヒケなどを起こしやすくなり、反対に大きくしすぎると残留歪みを起こしやすくなる。
合成樹脂 (Synthetic Resin)合成によって作られた高分子物質でプラスチック、塗料、接着剤などの原料。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に大別される。
高分子 (High Polymer)分子量の大きい化合物で、物性に対する分子量の影響が比較的小さいものをいう。
天然高分子と合成高分子に分けられる。
固化 (Solidification)可塑化された溶融プラスチックが冷却されて固まること。
•この教材では、熱可塑性プラスチックが冷却されて固まることを固化、熱硬化性プラスチックが加熱されて熱反応で固まることを硬化としています。
射出圧力 (Injection Pressure)溶融プラスチックを射出するときのスクリューの先端面にかかる圧力のこと。
射出圧力には金型内に溶融プラスチックを充填する1次圧(射出圧力)とヒケなどを防止する2次圧(射出保持1次・2次・3次圧力)がある。
スクリューの径を小さくするほど射出圧力は高くなる。
現在の成形機では射出工程を多段に分解し、それぞれの工程で射出速度、射出圧力、切り換え位置を変え、品質をコントロールしている。
射出圧力(kg/c㎡)×射出速度(射出率)(cc/sec)=射出出力エネルギー(kg.cm/sec)射出成形 (Injection Molding)プラスチックを成形する方法の一つで、成形材料を射出シリンダの中で混ぜ合わせ、可塑化して溶かし、スクリューによって金型内に圧入し、成形する方法。
熱可塑性プラスチックのほとんどの種類を成形することができる。
射出速度 (Injection Speed)溶融プラスチックがキャビティ内に射出される速さのことで、射出率(単位時間当たりに射出できる容積)と同じ意味を持つ。
射出速度は速いほうが金型への充填がよいが、金型内に残っている空気などを金型の外に排除しないと溶融プラスチックの温度が上がり、やけなどを起こす。
また、射出速度を速くしすぎても成形不良の原因となる。
重合反応 (Copolymerization)ひとつの化合物の2個以上の分子が結合して、数倍の分子量の新しい化合物となる反応。
つまり、2種類以上の材料を混合して反応させ、もとの材料とは異なる性質の材料を作り出すこと。
充填材 (Filler)プラスチックの寸法精度と寸法安定性、強度や耐久性などプラスチックの性質を向上させるために加える不活性物質のこと。
充填材を使用する具体的な目的としては、充填材を使用することで成形材料の価格を下げる---炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどプラスチックの特性を向上させる---ガラス繊維、カーボン繊維などプラスチックの強度や耐久性を向上させる---ガラス繊維、カーボン繊維などスプルー (Sprue)ノズルから溶融プラスチックをランナーまで移送するための通路。
またはその部分で固化したプラスチックをいう場合もある。
成形圧力 (Molding Pressure)成形のときに溶融プラスチックを金型内で加圧して形を作るのに必要な圧力のこと。
溶融プラスチックに加わる荷重を成形品の投影面積(ノズル方向から見た成形品の投影面積)で割ったものが成形圧力になる。
成形機を選定するときは次の条件を満たさなければならない。
射出圧力(樹脂圧力)×投影面積<成形圧力(型締め力)成形温度 (Molding Temperatur)成形のときに成形材料を加熱して溶融状態にするために必要な温度のこと。
成形サイクル (Molding Cycle)1回の成形を完了するのに必要な一連の操作、または操作に要する時間のこと。
1サイクルで射出、射出保持、冷却の時間を"0"としたサイクルをドライサイクルという。
成形サイクルは以下のような工程になる。
成形材料(Molding Material)金型で成形するのに用いる材料のこと。
射出成形では樹脂材料で熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックがある。
成形時間 (Molding Time)成形に要する時間。
熱硬化性プラスチックでは成形材料を加熱・硬化させるための時間をいうことがある。
せん断 (Shear)ある面を境にしてお互いに反対方向に滑りを生じる現象のこと。
つまり紙を切るときにはさみによって切られる部分や、プレスで鉄板が打ち抜かれる部分のこと。
射出成形ではスクリューの回転により樹脂に摩擦力が加わり、せん断力が発生する。
このせん断力を使って成形材料を混練、可塑化する。
また、樹脂がゲート部を通過するときの摩擦力がせん断力に変わり、樹脂の温度を上昇させる。
耐ストレスクラック性 (Stress Cracking)プラスチックを長時間、一定の応力がかかる状態で薬品中に放置し、さらにこの状態で荷重をかけ、クラックや破壊される限界の応力のこと。
抜き勾配 (Draft Angle)金型から成形品を取出しやすくするために、金型のキャビティやコアにつける勾配のこと。
通常は1~2°必要としているが、材質、成形品形状、シボ加工(成形品の表面を少しざらざらした表面にする処理)の有無などによって決定する。
射出成形では溶融プラスチックが成形後、成形収縮を起こすため、キャビティ側はできるだけ小さく、コア(入れ子)側は大きく抜き勾配をつける。
結晶性プラスチックは成形収縮率が大きく、キャビティ側では型の内側に縮むので離型がよく、コア(入れ子)側では型に抱きつきが強くなるので離型が悪くなる。
このため抜き勾配をつけるときは、コア(入れ子)側への抱きつきに注意して抜き勾配をつける。
非晶性プラスチックは成形収縮率が小さく、型より内側へあまり縮まないのでキャビティ側の抜き勾配もコア(入れ子)側と同様にやや大きくする。
パーティングライン (Parting Line)金型の固定側型板と可動側型板の分割線のこと。
バリなどが発生しにくいように平面、または緩やかな曲面をパーティングラインとする。
プラスチック (Plastics)高分子物質を原料として人工的に作られた固体のこと。
ただし、繊維・ゴム・塗料・接着剤などは除外される。
リブ (Rib)成形品の肉厚を厚くしないで剛性や強度を持たせたり、広い平面のソリを防ぐために用いる補強部分のこと。
ランナー (Runner)溶融プラスチックをスプルーブシュから金型キャビティ内に導く通路で、成形材料の種類によって大きさや形状を決定する。
成形材料の流動性からはランナーを大きくすることが望ましいが、冷却時間が長くなるので、通常は成形品の断面より小さくしてテストをしながら大きく加工していく。