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朝日新闻 天声人语 2015-1-8

朝日新聞 天声人語 2015-1-8
作家さっかの梶山かじやま季之としゆき(としゆき)が『黒くろの試走しそう車しゃ』を書かいたの
は1962年ねんのことだ。

田宮たみや二郎じろうの主演しゅえんで映画えいがにもなった。

マイ
カー時代じだいの扉とびらが開ひらき、自動車じどうしゃ業界ぎょうかいの火花ひばなが激はげしさを増ます高度こうど成長せいちょう期き。

新車しんしゃ開発かいはつの秘密ひみつ情報じょうほうをめぐるサスペ
ンスは人気にんきを呼よんだ
▼開発かいはつ中ちゅうの新型しんがた車しゃを覆面ふくめんのようなベールで隠かくして試走しそうする。

虚実きょじつのほどは知しらないが、あのころはそんなイメージを、筆者ひっしゃのような子こどもでも持もっていたと記憶きおくする
▼それから半はん世紀せいき。

自動車じどうしゃ業界ぎょうかいの競争きょうそうはいまも激はげしい
はずだが、思おもい切きったトヨタの決断けつだんである。

世界せかいに先さきがけて売うり出
だした燃料ねんりょう電池でんち車しゃの特許とっきょ約やく5680件けんを無償むしょうで
開放かいほうするという。

ニュースに驚おどろいた人ひとは多おおかったろう。

そして拍手はくしゅを送おくった人ひとも
▼水素すいそと酸素さんそを反応はんのうさせて、排はいガスを出ださずに走はしる。

苦心くしんの技術ぎじゅつをライバル社しゃに提供ていきょうするのは、参入さんにゅうを促うながして市場しじょうを広ひろげるためだ。

「戦略せんりゃく」ではあろう。

しかし、ものづくりを競きそい極きわめる企業きぎょうとして、なかなかできることではあるまい
▼中国ちゅうごくの魯迅ろじん(ろじん)の一節いっせつを思おもい出だす。

この大だい作家さっかは、希望きぼうとは、もともとあるものとも、ないものともいえず、地上ちじょうの道みちの
ようなものだと言いった。

そして「もともと地上ちじょうには道みちはない。

歩あるく人
ひとが多おおくなれば、それが道みちになるのだ」と結むすんだ
▼「究極きゅうきょくのエコカー」で走はしる人ひとが多おおくなれば、それが道みちになろう。

水素すいそステーションなどの整備せいびは市場しじょうが広ひろがるほど進すすめやすくなる。

石油せきゆから水素すいそへ主役しゅやくを代かえていく技術ぎじゅつは、「希望きぼう」に
なぞらえるのにふさわしい道みちに思おもわれる。

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