日语剧本《情书》
て。
博子
そうですか。
同級生 先輩たち今日は自宅謹慎ですわ。
博子
自宅謹慎?
同級生 みんな未だに罪の意識なんですよ。
同級生 秋葉さんなんかあれからまだ一度も山登ってへんもん。
同級生 あの人たちにしたら、先輩が死んだこともまだ昨日のことみたいな
んやろな。
同級生 みんなちょっと集まって。
同級生 お、名カメラマンの登場やで。
【郵便配達のウーウーというバイクのモータが止まる】
樹
ゴホッ、ゴホッ、
配達
あれ?樹ちゃん、今日どうしたのよ?休み?
樹
風邪引いたのよ。
配達
そう、今年のはしつこいってよ。
樹
誰かさんみたいね、
配達
ね、あのさ、映画のチケットあんだけどさ、一緒に行かない、土曜とかさ。樹行かない、配達
じゃ、日曜は、
樹
うん、寒い、
博子
でも、面影がありますね、
藤井の母 なんか今見ると、不吉な写真ね、あ、ケーキ食べる?
博子
あ、いえ、
藤井の母 コシムドアのよ、
博子
じゃ、藤井……. 樹、あった!
藤井の母 博子 藤井の母 博子 藤井の母
何企んでるの?秋葉さんたち。 あ、今夜夜襲かけるんですって。 夜襲? 夜、こっそりお墓参りするんですって。 じゃ、あの子、今夜眠れないわね。
樹
何を!?
友達 証拠よ。
樹
どんな証拠よ?
友達 住民票の写しとか。
樹
なんであたしがそんなもん提出しなきゃなんないの。
友達 じゃ、保険書は?
樹
あたしね、もうこれ以上関わらないことに決めたの。いくら手紙は来
ても相手してあげないわ。
友達 樹、偽物よばわりされて黙ってる気?
博子 なんか…..指名手配の写真みたい。
(情书) 脚本
藤井の父 本日はご多用の中、息子樹三回忌にこのように多数の方々 にご出席 いただきまして、まごとにありがとうございます。生前お世話を承りました皆 様、親交厚くさせていただきました皆様にお目にかかれ、樹もさぞ喜んでいる ことと存じます。
【読経】「なんじは時に宝塔の内より」「大音声(だいおんりょう)を出(い) だして、ほめてのたまわく」
【唄: 〜】 学生 秋葉 学生 秋葉 博子 秋葉 博子 秋葉 博子 秋葉
あ〜、私の恋は〜 風に乗って走るわ〜 ―松田聖子―「青い珊瑚礁」 じゃ、先生、お先に。 あ、気イつけてな、 博子さん、お先に。 そっちはどうやったん? えっ? 法事のほうは? うん、まあ、いろいろ、 いろいろって? いろいろって、いろいろ、 なんかええことでもあったんかいや、なんかそんな顔やで、
同級生 本間言うとね、秋葉たちが今夜こっそり墓参りに来る計画らしいで
すわ。
藤井の父 くれ。 博子 藤井の父 藤井の母 同僚 同僚 した。 同僚
博子ちゃん、すまん、今日帰りにこいつ家の前で落っことしてって はい。 なんか急に頭痛いなんていい出すもんで。 痛い、痛い、突き飛ばさなくたって。 博子さんでしたっけ? 治夫さんもう酔っ払ってんの、菊正一人で全部飲んでしまいよりま 博子さん。
博子
お母さん、頭は?
藤井の母 え?ああ、あれね、仮病。何?
博子
みんないろいろ企むもんだなあって。
藤井の母 可愛いもんでしょう、あたしするのは、
博子
秋葉さんたちも何か企んでるみたいですよ。
藤井の母 ぜんぜん遊びに来てくれないんだから、たまには顔見せてよね、
博子
すいません。
藤井の母 途中まではやったのよ、でも今日の準備もあったじゃない。なんだ
秋葉 おお、どないした?
学生
あの、ちょっと忘れ物。
秋葉 なんの?
学生 あ、いいんです。失礼します。
秋葉 見られてしもたな、どないしよ、しゃあないもんな、これで既成事実
成立っちゅうことで手工打てへん?藤井にな、お願いしてきたんや、墓参りん
時、君と結婚させてくれや言うて、もういい加減、あいつを自由にしたってっ
2
博子 そう?何? 秋葉 なんやねん?それこっちが聞きたいわ。 博子 あの人のうちでね、卒業アルバムを見せてもらったの。 秋葉 卒業アルバム? 博子 そう、中学時代の、小樽に住んでたごろ。 秋葉 ふーん、 博子 そのアルバムの最後のところにね、名簿がついてて、その中に、あの 人の住所もあった。 秋葉 そりゃあるやろな? 博子 でも、今は国道になっちゃって、もうないだって、お家は、だから、 いまはもうない住所なの、そうでしょう? 秋葉 まア、そうやな、 博子 その住所に手紙書いて送ったの、あの人に宛てて。 秋葉 はあ、そんなん、そんなん、書いたって届かへんやろう? 博子 届かないから送ったのよ、だって天国に送ったんだもん。 秋葉 またけったいなこと思いつくやな、君は、 博子 でもね、そうしたらね、返事が来ちゃった。 秋葉 天国から? 博子 そぅ。 秋葉 そんな阿呆な…… 「拝啓渡辺博子さま、私も元気です。」 博子 不思議でしょ? 秋葉 「でも、ちょっと風邪気味です。藤井」こんなん誰かの悪戯やろ。 博子 かもしれないけど、でもちょっと嬉しくて。 秋葉 やっぱ、アレかな?やっぱり忘れられへんのかな、樹のこと、そんな けったいな手紙まで書いて、 博子 秋葉さんは?もう忘れちゃったの? 秋葉 そんな、そういうことはないやろ?ほな、俺と君の関係がどう定義す るの?な、な、博子ちゃん!な、なって、なって、俺真面目な話しとんのやで、 博子 そんなこというたかて、ようわからへんがな。 秋葉 都合の悪い所だけ関西弁、つかうんやもんな。
藤井の父 あ、あのう、お手隙の方から、これ、どうぞ!
男
おっ、甘酒!気イきくがな、ほんま言うたら、甘うない方がええん
やけどな。
藤井の父 安代、お前アレ、菊正かなんかあったろ。
藤井の母 あとで、たっぷり飲むんでしょう。
藤井の父 いいから、供養供養。
同級生 博子さん、「秋葉さんたちがよろしくて、顔出せへんですんません」
秋葉 これ傑作やな、や、しかし本間に藤井樹ちゅうのがおったんやな、い や、俺の作戦も大成功やね、あ、実はな、俺もこっそりこいつに手紙書いたっ てよ、お前本間に藤井ちゅうんだったら、証拠見せろ言うてな、しゃげど、こ んなのも送ってくるとは、敵も猿もんやで、それでな、博子ちゃん、小樽行っ てみへん、俺のツレが小樽でガラスやっとってんやけど、そいつ展覧会んる言 うて案内くれたんよ、面倒くさいからことは思ったんやけど、ちょうどええや ん、なア、せっかくやから、小樽行って、敵の正体暴いてみへん。 博子 敵じゃないよ。 秋葉 うん? 博子 そうじゃなかったのに、ひどいよ、秋葉さん、でももうこれで最後、 みんなおしまい。風邪治ったのかな?あの風邪薬飲んでくれたのかな。 秋葉 博子ちゃん、 博子 あの人の手紙だったの、そう思いたかったの、でも、もういい。 秋葉 こんなん来るからいかんのや、樹なわけないやん!あいつが手紙書け るわけないやろ!つらいで博子ちゃん、いっつもその席に座りよるしな、俺と あいつが最初に君に会うた時、やっぱりそこに座ったもんな、あいつ初対面で 君にいきなりつきおらて言うたん、覚える?最初に誘ったんは俺やでそれも女 の子なんかとも口もようきかんかったのにやっぱりあん時俺が最初に口説くべ きやったな。もし、そうなっとったら、俺たち、どないなっとったんかなあ。 小樽行ってみへんか。探してみよ。もう一人の藤井樹。
4
えよ!博子ちゃんがそう思うとったらええやん、俺は俺のやり方でことの真相 明らかにすることに全力をつくさかい、ちょっと貸して、貴重な証拠物件やか ら。
樹
「もしあなたが本当の藤井樹なら、何か証拠を見せてください。」喧嘩
売ってるかしらね、だいたい、最初に手紙を寄越したのは向こうよ。
友達 ね、ちょっと送ってみなよ。
藤井の父 堪忍やで、博子さん。
同僚
博子さん、よく聞けよ。山男や惚れるなよ。
博子
お父さんもたいへんですね。
藤井の母 大変な振りしているだけよ。今日だって、これから一晩中どんちゃ
ん騒ぎ。あまり喜んでると、体裁悪いから、忙しぶってるだけ、供養だ供養だ
なんて言ったって、お酒飲みたいだけなのよ、あの連中は、
樹
うん、
樹の母 結婚して名前変わったでしょう、ほら、そうでしょ。
樹
あれは遠藤さん、ティッシュ、
樹の母 うん、
樹
ティッシュ、
樹
渡辺博子渡辺博子渡辺博子渡辺博子、ああ、もういらつくな!
「拝啓渡辺博子様、私も元気です、でもちょっと風邪気味です。」 「拝啓藤井樹様、風邪の具合はいかがですか?お薬飲んで、早く治してくださ い、渡辺博子。」
樹
ちょっと違うと思うけど、
樹の母 おじいちゃん、ご飯、
樹
神戸の渡辺さん、ママ覚えない?
樹の母 渡辺さん?
樹
はい。
樹の母 あんたが忘れてるだけじゃないの、
樹
そんなことないって、絶対知らないもん、渡辺博子、変よ、これ、
絶対、ね、変よね、おじいちゃん。
お爺さん どれ、
樹
神戸に知り合いなんかないじゃん、あたし。
てええやろ?なあ、君も自由になれよ。
「拝啓藤井樹さま、今日帰りの坂道で桜の蕾が膨らんでいるのを見つけました。 こちらはそろそろ春の気配です。渡辺博子」
同僚 樹 同僚 樹 同僚 樹 同僚 樹 同僚 樹
キテるわ。 梶井基次郎(かじいもとじろう)にあるでしょ。 「桜の木の下に死体が埋まっている」。 あとほら、坂口安吾のさ…… 「桜の森の満開の下」。 そうそう。 やっぱ冷暗ね。 桜というのはそういうもんよね。 そういうもんよ。 そのわけの分からない手紙でしょ?風邪薬でしょ?それに桜と春の気
樹の母 知らないわよ、あんた病院行かなかったの?