大学日本語専攻四級能力試験問題(2010)
(試験時間:160分)
注意:解答はすべて解答用紙に書きなさい。
五、次の文章()に入る最も適当な言葉を、後のA、B、C、Dから一つ選びなさい。
(1×10=10点)
奇っ怪ともいえる問題が東日本で起きている。
三十四歳の女の周辺で中高年の男性数人が変死をしている(61)。
そのうちの何人かからは睡眠導入剤の成分が検出された。
(62)、厳密にはまだ事件と呼ばれる段階に入っていない。
(63)。
まだ疑惑の件では、逮捕や家宅捜索など、法に基づく刑事的な訴追手続きに至っていないからだ。
(64)、女の名前も顔写真も新聞には載らない。
一部の週刊誌には載っているではないか、と疑問の向きもあろう。
(65)見切り発電をしたのだと思う。
そんなに遠くない昔、新聞もよく似ていた。
(66)のメディアよりも早い容疑者の名前を割り、事件との関連をつかみ、逮捕後は供述内容の抜きあいだった。
事件記者の腕の見せどころだった。
私もその一つだった。
だが、最近は違う。
違うような紙面にしたい。
なぜ事件は起きたのか。
この背景には何があるのか。
事件は時代を映す鏡だというなら、(67)何が映されているか。
そういったことをわかりやすく伝えたい。
読者もそういうことを求めているのではないか。
(68)殺伐とした事件報道より、心がほのぼのするような話が読みたい。
そんな声が目立つようになった。
六月から始めた本紙のコラム「虹」が好評だ。
いつも読んで思い出す吉野弘さんの詩がある。
虹が小さな村から立ち上がったのバスの中から見た。
だが、村の人々には(69)のだ。
「そんなこともあるのだろう・他人には見えて・自分には見えない幸福に中で・格別驚くもせず・幸福に生きていることがー。
」
題して「虹の足」。
意外と私たちの身の回りは、幸せの虹(70)なじめられているのかもしれない。
家族や友達、そして恩師やペットたち。
「大切なことは目に見えない」といったのはだれだったか。
61.A、のだB、ものだC、ことだD、わけだ
62.A、なのでB、なのにC、だからD、だが
63.A、なぜかB、どうだろうC、そうかD、はたして
64.A、しかしB、それにC、だからD、だけど
65.A、だいぶB、たぶんC、こいにD、れきぜん
66、A、ここB、そこC、あそこD、どこ
67.A、いったいB、どうしてC、まったくD、そもそも
68、A、それでもB、もとよりC、さらにはD、それとも
69.A、見られないB、見えないC、見せないD、見ない
70.A、についてB、にたいしてC、にとってD、によって。